「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

BOOK〜93歳・ジャーナリストの発言…『戦争絶滅へ、人間復活へ』

私の座右の書のひとつである本がこれ。( ^)o(^ )


BOOK〜『詞集 たいまつ』(むのたけじ
http://d.hatena.ne.jp/lp6ac4/20070617


93歳のジャーナリスト・むのたけじ(本名・武野武治)氏は、1915年、秋田県に生まれる。東京外国語大学スペイン語科卒、報知新聞者を経て朝日新聞社に入社、記者として報道に携わった。1945年8月15日、戦争責任をとる形でみずからの意思で朝日新聞を辞めた


私は、負けた戦争を『勝った、勝った』と言い続け、うそばかり書いていたのだから、ここできちんとけじめをつけるべきだと思っていました。戦争中は、事実を新聞に書けなかった。それどころか、戦意昂揚の旗振り役となっていた。その責任を取って私は新聞社をやめました」


93歳のいまなお、むのたけじ反戦・平和のために全身全霊を捧げて取り組んでいる。その鋭い舌鋒は、まったく衰えていない。
声の大きさや迫力は以前よりも増したのではないか、と思うことさえある。おそらく、青年期のむのは、火の玉のように熱い男だったに違いない。北海道から沖縄まで講演活動で駆け巡っている。そんな彼が語る、21世紀の私たちへのメッセージがこの本なのだ。そのエッセンスを紹介しよう。




・ものを見るときに、いったいどちらの側に立つのか。大きいものと小さいものが対立していたら、私はまず小さいものの側へ行きます。そして強そうなものと弱そうなものがあったら、弱そうなものから見る


・少なくとも、戦争のことを一番よく知っているのは、実際に戦場で戦った人たちです。ところが、戦場へ行けば分かりますが、言ってしまえばもう「狂い」ですよ。相手を先に殺さなければこちらが殺される、という恐怖感。これが朝昼晩とずっと消えることがない。三日ぐらいそれが続くと、誰でも神経がくたくたになって、それから先は「どうにでもなれ」という思考停止状態になる。したがって、戦場から反戦運動というものは絶対に出てきません。

本当にいやなことだけれども、戦場にいる男にとっては、セックスだけが「生きている」という実感になる。しかも、ものを奪う。火をつける、盗む、だます、強姦する…ということが戦場の特権としてこれまでずっと黙認されてきました。あえて言いますが、ほとんどの男は、とても自分の家族、自分の女房や子供たちに話せないようなことを、戦場でやっているんですよ。


ベトナム戦争でのアメリカ兵の死者は5万8千人余り、ベトナム側は300万人くらいだと言われていますが、アメリカ帰還兵の自殺者は6万人から10万人にも上るといわれています。戦場で死んだ人よりも多い。現在のイラク駐在のアメリカ兵から、自殺者がかなり出ている。戦争というものは、終わって家族のもとに帰っても、決してそのまま平和な生活に戻れるものではない。戦争が終わった後も怖い。


朝日新聞に残って、本当の戦争はこうでした、ということを正直に検証する記事を書き続けるべきでした。戦争は絶対に許されない、諸悪の根源だ、とあのとき強く訴えるべきだったのです。それを今非常に後悔していますね。


・ジャーナリズムとは何か?毎日起こることを書くことです。それをずっとやっていくのが新聞。それは何のためかというと、理由は簡単で、いいことは増やす、悪いことは二度と起こらないようにする。ただ、それだけのことなんです。


憲法九条とは何か。あれは、いわば軍国日本に対する“死刑判決”です。軍備は持たせない、陸海空軍すべてだめ、交戦権も永久に放棄させる。これはあの乱暴な戦争をやった日本が、もう二度と国際社会で戦争はやれなくなったということに他ならない。言い換えれば、国家ではないという宣告です。交戦権をもつのが近代国家だ、ともいえるわけですから。
ある意味において、国家としてはこれほど屈辱的なことはない。ところが、一方で、人類の輝かしい平和への道しるべであり同時に日本自身の軍国主義への死刑判決でもある。その両面をもつのが憲法九条なのです。


・結局、「国際」と名のついたものは、オリンピックをはじめとして、人間の生活を全然変えていないでしょう。国際連合もそうです。国際連合も「国際」という言葉はやめたほうがいい。ただしそれに代わるピッタリの言葉がないので、いまある言葉を使うなら、「世界連合」とか「人類連合」というものにする。そういう発想をすべきだと思う。そして、まずやることは核兵器の検証だ。


・私はこれまで93年間生きてきて、いろいろな経験もしてきたし、人も見てきたけれども、結局大事なのは、私を救えるのは私以外にないということです。私は私であり、私自身を大事にして自分に誇りを感じ、志をもって生きるということ。そうすると、他の人のこともよく考えることができる。自分を大事に思う人間でなければ、他人を大事にすることもできません。結局、人を変えるものはやはり自分で、他力によって人は変わりません


その他、『8月10日の空襲後に見た光景』 『日本のジャーナリズムの現状』 『占領統治に利用された天皇制』 『軍事をもたない国コスタリカ』 『「新しい日本人」の出現』など。新書だけど、ズシッとくる本。たまにはいいよね。(^◇^)おススメ。