「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

BOOK〜『希望は絶望のど真ん中に』(むのたけじ)

希望は絶望のど真ん中に (岩波新書)

希望は絶望のど真ん中に (岩波新書)

私が好きな96歳のジャーナリスト、むのたけじ氏。これらの本の言葉は胸に突き刺さった。


BOOK〜93歳・ジャーナリストの発言…『戦争絶滅へ、人間復活へ』
http://d.hatena.ne.jp/lp6ac4/20090115

BOOK〜『詞集 たいまつ』(むのたけじ
http://d.hatena.ne.jp/lp6ac4/20070617


むの氏は一貫して、戦争をなくすことが最大の課題だと断言している。終戦の日に戦争報道の責任をとって朝日新聞社を退社、戦後ジャーナリズムに屹立する著者が書き下ろした熱い「人類宛のラブレター」がこの本だ。氏は、人類が作りだしている現状の本質、世界情勢の土台にあるものをできるだけ明らかにして、私たちみんながその状況にどう立ち向かって生きていくかについて一個の材料を提示したいのです、というそのエッセンスを紹介しよう。



・世界中の新聞社・出版社の一か所でもほんものが生きていたら、世界中の人々はとうにひとつの重大な会見ニュースに接していたはずです。相手はアルカイダの「ミスター・ビン・ラディン」です。「あなたとあなたの団体は何を目的にどんなことをしてきて、これからどうするつもりですか」「あなた方は多くの国々や人々によって極悪なテロ行為者として避難されていますが、もし事実がそうだとしたら、何がどうなればあなた方はその行動をやめますか」などについて知ることが出来たはずです。その会見をどこかが計画して実現して実現できなかったとしても、彼の組織の在非や輪郭について知り得たであろう。でもそんなニュースはトンと出てこなかった。おれだって、十分な体力と工作資金を持ち得たらやっているのに…。


・ミスター・ビン=ラディンの死を先ほどラジオで知った。こういう事態になる可能性があったから、だからこそジャーナリストがビン=ラディン氏とじかに対面して、彼の言い分を世界中に伝えねばならなかった。私は一ジャーナリストとして疑う。ビン=ラディン氏に発言させないで始末することを望んだ人たちがいるのではないか、とい。ミスター・オバマよ、この疑問にどのように答えますか。


ジャーナリズムは、私の考えでは民衆生活の朝夕の相談相手ですな。個体と全体をつなげる絆の大切な一本ですな。世の中の続発する動態についてその原因と過程と結果を明らかにして、さらに一つの結果が次の新しい原因となる道筋を明らかにする作業。それが何よりの任務です。ところが、世の姿は急速におかしくなってきた。報道産業の株式会社たちはますます急速に本来の性質や任務から離れていき、そして社会情勢はますます深刻な苦悶を増やしていく。


我々日本人のこんなザマな現状はいつ、なぜ生まれたか。つまり私たちの国を今の姿にした根本の要因は、掘れば掘るほど深いところに行き着くだろうが、1931年の満州事変という中国への侵略開始から連合国のポツダム宣言への屈服に至る十五年戦争の時期に存在していた。そこまで吟味しなければよみがえる活路は作れない、と私は力説したい。生活の息苦しさ、人情も愛情も義理も薄れてしまったわびしさ、世相は不安を増すばかりで先がますます見えなくなる不安、こうした情勢の本質において、あの十五年戦争当時の状態と現状はそっくりですね。


歴史=ヒストリーとは何か。あちらこちらの出来事の記録集なんかではありませんな。生徒たちの手にしているその教科書のように無味乾燥なものではない。歴史は、人類のいのちぃの営みの自己記録だ。貫流する生き血の足跡だ。続発する事象の表層と根底、前後と左右の関連を確かめながら、物ごとの道理と間違いを検証していく。人間たちが歴史を作って、歴史が人間を導く。当然そこには、きびしい裁きが働く。


・人間という生き物の本質、その特質は何だ。私の判断では四つの側面を持つ。

1 独立独歩、自主自立、二足で直立歩行の姿そのものが心の姿である。
2 性格は頑固だが、同時に謙虚で慎重…。
3 個体の個性への尊重。
4 改良・改善・変革を求め続ける執念。


ぜひ、一読をお勧めする。(・。・)