前回紹介したこの本。その中でも最も心に響いた章がある。そのタイトルもズバリ!「一夫一婦制が崩れるとき」。その中のライオンの話は、「ホンマかいな!?」と首を傾げてしまった。かなりインパクトのある話、そのエッセンスを紹介しよう。
・ライオンは雌だけが狩りをする。ライオンの雄は、鬣(たてがみ)が大きくて、豪華でカッコはいいが、頭が重い分だけ走るのが遅くて狩猟には適していない。それで雄は常に雌のヒモとなって自らはほとんどなにも捕まえない。
ところで自然の摂理というのは見事なもので、サバンナの世界までライオンは百獣の王でもなんでもない。単なる飢えた生きもので、その最大の理由は、ライオン君が食べたいという動物はみな彼等より足が速くて捕まえにくいからである。ガゼールやシマウマのように、美味しそうな動物はみな足が速いうえに首にも360度近く回転して、常に警戒態勢を取っているから、ライオンがいくら狙ってもそう簡単には摑まらない。
逆に、象とかバッファロー、ハイエナのように足の遅い動物は肉がまずくできている。誰にも狙われないから警戒する必要もなく、足も遅いし、首もほとんど前後にしか動かせない。人間でもいい女は逃げ足が早いが、ブスな女は逃げ足が遅いということはある。(笑)
とにかくライオンが食べたいと思う動物はみな足が速い。だからといって、ライオンより足の速いチーターやヒョウが、簡単に獲物にありつけるかというとそうでもない。ライオンは足はイマイチだが、プロジェクトを組んで挟み打ちをして獲物を捕まえることができる。ところがチーターやヒョウは敏捷で木にも登れるし、足は速いが、性格的に協調性がなくてプロジェクトを組めない。さらには彼等は新鮮肉でないと胃や腸がうけつけずに消化しない。その点ライオンは草原のどこかに隠しておいた、腐った肉でも食べられる。こう見てくるとサバンナに生きている動物はみんな大変な、いずれも弱点と長所があり、だから数のバランスが保たれているともいえる。
ところでライオンも飢えたときには切羽詰まって肉のまずい象にも手を出すらしい。もっともそのときは小象で、それなら辛うじて食べられる。だから小象を狙うライオンはよほど落ちぶれた、雌ライオンに捨てられた雄が多い。この雄も生きていくためには大変で、毎年、しかるべき雌と契約して、雌から餌をもらう見返りとして、セックスに努める。ここで雌ライオンに合格点をもらった雄は、その年は餌をもらえて安心できるが、翌年も大丈夫という保証はない。翌年も雌ライオンに選んでもらうために性的に満足させなければならない。
これを人間社会に当てはめると、妻に性的満足を与えられないような夫は解任ということになる。
なるほど……そうだったのかあ…百獣の王ライオンはそういう生態だったのかあ……。深いなあ…オススメです。(・∀・)