- 作者: 星新一
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2006/01/25
- メディア: 文庫
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さて、ふとしたきっかけで30年ぶりに星新一の本を読みました!改めてその先見の明と簡潔な文章の中に含まれている深い洞察力にビックリっ!バーコードもPOSシステムもパソコンも普及していなかった時代にこんなことが予見されているとはっ!しかもこれが1970年に書かれたなんて…、ノストラダムスよりも偉大だ!
この『声の網』はショートショートではなく、12の短編が連なり、最終的にひとつの叙事詩が出来上がるといった形式。メロン・マンションの1階から12階まで。そして1月から12月までにおきた電話に関するの出来事。
電話に聞けば、完璧な商品説明にセールストーク、お金の払い込みに秘密の相談、ジュークボックスに診療サービス、なんでもできる。便利な便利な電話網。ある日、メロン・マンション一階の民芸品店に電話があった。「お知らせする。まもなく、そちらの店に強盗が入る…」そしてそのとおりに、強盗は訪れた!12の物語で明かされる電話の秘密とは?
詳しくは本を読んでいただくとして、この本の中に書かれている印象的なメッセージを紹介しよう。
・知識はエネルギーだと言いかえてもいい。燃料だ燃料だといっても、燃料だけでは力にはならないんだぞ。たとえ話をするよ。森の奥のような、聞いている者が一人もいない場所で木が倒れた場合、音がしたことになるかどうかだ。さらにだね、森の奥で木が倒れ、そばに人にいたが、その人物の耳が不自由だった場合、音の有無はどうなるか…。
石油というものが存在する。しかし、そばにいる人物が、それが燃えるものだとの知識をまるで持ち合わせていなかった場合、石油エネルギー資源と呼べるかどうかだ。
・人びとは大昔から、神の存在を夢見てきた。理屈ではなく、心からの願いであった。そして、その神とはこのようなもの。人に気付かれることなく、どこかにおいでになるもの。万能の力で、あらゆる人間の記録をにぎっておいでになり、何事も見通していらっしゃる。心の奥も神にはかくせない。そして、どの個人も運命の糸で神と直結している。神はいつでも公平な審判を下せるだけの力をそなえておいでになる。しかし、神の万能の力は人間たちのためにのみ使われる。そのような存在を、人々は願い続けてきた。
ん〜!!!深いっ!(>_<) もしかしたら神様ってコンピュータなの!?コンピュータって神様の化身!?考えさせられる一冊!また星新一を読み直そうかな!オススメ!(^_-)-☆