この本の副題は「生きるということは ほかのものの命をいただくこと」。そうだよね、だからお命「いただきます」なんだよね。
著者は、佐賀県唐津市はずれの玄界灘に住む65歳。代々の農家で米、ミカン、ブドウ、野菜などを作っている山下惣一さん。毎日小学生新聞日曜版に連載されたもの。子どもだけではなく大人も楽しめる食のエッセイ。そのエッセンスを紹介しよう。
・その人がなにを食べて生きてきたか、それの歴史を「食歴」というそうです。その人の生涯の好き嫌い、すなわち「嗜好(このみ)」は七歳ぐらいまでの食歴で決まるといわれています。これが、その人の食の原点、ふるさととなって、その人の一生の左右するわけです。考えてみれば、これはすごいことです。こわいことです。
・ミツをあつめてまわる働きバチはメスで、オスはなんにもしない。だから秋になると巣を追い出されて、野たれ死にする。働きバチの寿命は35日から40日、2キロメートルぐらいの距離まではミツを運んでくるそうだけれど、一日に10回も15回も往復して、過労死するのだそうだ。だから、ミツバチが一生の間にあつめるミツが、わずかに4グラム。小さなスプーン一杯ほどだ。涙が出るような話だ。
・赤トンボはどこから来るか?どうやら東南アジアから毎年はるばる日本まで飛んできて、田植えのすんだ田んぼに産卵し、ふえていくのだそうだ。西日本の赤トンボの8割は田んぼで生まれているのだそうだ。ではなぜ、赤トンボは田んぼが好きなのか。繁殖するのに都合がいいからだ。水がある。土があり稲があり食べものがある。そこで田んぼにどんな生きものがいるのかしらべてみた。2001年6月12日、一反歩(約10アール)あたり、赤トンボのヤゴ3000匹、糸トンボ2000匹、土ガエル1000匹、タイコウチ100匹、ゲンゴロウ5000匹、ガムシ5000匹、背白ウンカ7000匹、アメンボウ10,000匹、オタマジャクシ10,000匹、逆巻貝10,000匹、ユスリカ100万匹、ミジンコ5000万匹、とこれだけいた。すごいよねえ、じいちゃん感動した。つまり田んぼがなくなるということは、これらの生きものもまたいなくなるということだ。
田んぼって命の源なんだね。スゴイねえ。テルおじちゃん、びっくりした!オススメです。(・∀・)