連日のようにエンゼルスの大谷翔平の活躍が報道されているよね。ウレシイねえ。新しい歴史をつくっているよね〜!(・∀・)
さてこの本。「歴代強打者のバッティングの特徴や凄さ、エピソードなどを語りながら、強打者とは何か、プロとは何か、その条件と は何かを著者ならではの視点から毀誉褒貶織り交ぜて考察していく。プロ野球史上最強の打者は誰か?野村克也が60年間、その目で見てきた強打者たちの伝説」そのエッセンスを紹介しよう。
・「強打者」といってもその定義はなかなか難しいが、「クリーンナップトリオ」の一角を10年務めたこと」を目安とする。成績はもちろんだが私が言う「中心選手は、チームの鑑でなければならない」という役割を存分に果たしたということである。
【川上哲治】
川上さんを見ていて私がもっとも驚いたことは、バッターボックスに入り、構えると、もう微動だにしなかったことである。いまのバッターは、それこそ一球ごとにボックスを外すが、川上さんはそういうことはまずなかった。一度ボックスに入ったらそのまま。動くことがないのである。おそろしいほどの集中力だった。
【大下弘】
南海ホークスの鶴岡一人監督をして「長いことプロ野球の世界にいるおれが、唯一天才だと認める選手が大下だ。大下以外、天才はいない」「日本の野球の打劇人を5人選べば、川上、大下、中西、長嶋、王。3人選べば、大下、中西、長嶋。一人なら大下」
【中西太】
素振りだけで私を震え上がらせたバッター。大阪球場の三塁側のネクストバッターズサークルで太さんが素振りをすると、一塁側のベンチにいるわれわれの耳にも振幅音が聞こえてきたほどである。「ブンッ!」と短く、鋭い音がするときは正しいスイングができている。そんなバッターは、後にも先にも見たことがない。「外角の変化球をイメージしておく。それで内角高めのストレートが来たら、腰を素早く回転させて打つ」普通は逆だ。内角高めのストレートに照準を置く。振り遅れないようにするためだ。中西に言わせれば、それこそ「逆」なのだという。外角の変化球をイメージしておくからこそ、最後まで体勢が崩れないし、そのうちにないかくたかめにも反応できるようになる、というのだ。
【長嶋茂雄】
長嶋は「本物」だった。なにより驚いたのは、スイングの速さだった。「見逃した」と思った刹那、目の前に突然バットが現れて面食らったのを鮮明に憶えている。つまり無駄な動きがないのだ。だから速く見える。四打席四三振のカネやんの鋭く大きく落ちるカーブをみせられたら、ストレートには手を出せないのがふつうだ。ところが、長嶋は全部振りにいった。「やっぱり、こいつはすごい……」あらためてワツァイは思ったのだ。長嶋を何をもって「天才」とするのか。私なりに定義すれば「変化球を苦にしない」。私は長嶋に訊ねた。「みんな、あなたのことを『天才』といっているけれど、自分でも天才だと思うか?」すると長嶋は、「いや、そうは思わない。世間が『天才』というから天才のふりをしているだけで、自分は人から見えないところで努力しているんだ」
その他、「私を高めてくれたライバル、王貞治」「「ステップ」と「一歩目」を融合させたイチロー」「最強の右バッター、落合博満」「安打製造機、榎本喜八」「目立たない天才、土井正博」「アーチスト、田淵幸一」「18歳で私を驚嘆させた男、前田智徳」「イチロー、長嶋に匹敵する天才、広瀬叔功」「主役にこだわった男、張本勲」「左肩にアゴを乗せたフォームがトレードマーク、長池徳二」「代打ホームラン世界一、高井保弘」「海の向こうからやってきた強打者たち」「ダイヤモンドの外から見た強打者たち」「私の教え子たち」「現代の、そして未来の強打者たち」など。
ワタシが見た中ではやっぱり王さんかなあ。野球ファン必読。オススメです。