「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「目の見えない白鳥さんとアートを見にいく」(川内有緒)

 

昨年読んだ本で、感動したこの本、「目の見えない人は世界をどう見ているのか」。

驚きとビックリの連続だったねー。まさに多様性の時代にピッタリだったねー!

 

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 さてこの本も感動だよ!未知の世界に誘ってくれる!(・∀・)

2022年 Yahoo!ニュース!本屋大賞 ノンフィクション本大賞」受賞!「全盲の美術鑑賞者」とアートを巡るユニークな旅で、社会を考え、人間を考え、自分自身を見つめ直すことができる、まったく新しいノンフィクション。開高健ノンフィクション賞受賞後第一作!」そのエッセンスを紹介しよう。

 
 
目が見えないにもかかわらず、年に何十回も美術館に通うひとがいる。そんな全盲の美術鑑賞者・白鳥建二さんのことを知ったきっかけは、友人が発したこんなひとことだった。「ねえ。白鳥さんと作品を見るとほんとに楽しいよ!今度一緒に行こうよ」
 
・白鳥さんは生まれつき極度の弱視で、色を見た記憶はほとんどなく、「色は概念的に理解している」という。はて、「色は概念的に理解している」とは、いったいどういうことだろうか。「一般的には『色』っていうのは視覚の話だと思われるんだけど、白とか茶とか青とか、色に名前があるという時点で概念的でもあるんです。それぞれの色には特定のイメージがあって、それを(視覚としてではなくその特徴的なイメージで)理解している」白鳥さん)
 
同じ絵を見ているのに、なぜここまで印象が異なるのか。どうも「見る」ことの科学と関係があるようだ。視覚とは「目」や視覚の問題だと考えられがちだが、実際は脳の問題だということである。ものを見るうえで不可欠な役割を果たすのは事前にストックされた知識や経験、つまり脳内の情報である。わたしたちは、景色でもアートでもひとの顔でも、すべてを自身の経験や思い出をベースにして解析し、理解する過去の記憶情報を元に、対象物をポジティブにもネガティブにもジャッジする。過去のモラハラ気味の同僚と似た風貌のひとを見かけただけで、そこはかとなくいやーな気持ちが湧き上がるのはそのせいだ。
 
アメリカのフィリップス・コレクションの建物写真があるコーナーがあり、わたしはアメリカに住んでいたときの思い出も色々と話した。すると白鳥さんは、作品についての説明以上に熱心に聞いていていやあ、正しい作品解説とかよりも、見ているひとが受けた印象とか、思い出とかを知りたいんですよ」などと言うではないか。
 
・振り返ってみると、わたしとマイティは、この20年間でたくさんのアート作品を一緒に見てきたはずだ。しかし、いままでは「面白かったね」「そうだね」くらいの会話しかしてこなかった。じゃあ、それまでの違いとはなんなのかー。目が見えないひとが傍にいることで、わたしたちの目の解像度が上がり、たくさんの話をしていた。しかも、ごく自然にそうなる感じがあった。だから本当の意味で絵を見せてもらっているのは、実はわたしたちのほうなのかもしれなかった。もしかして、これが「白鳥さんと見ると楽しいよ」の正体だろうか。
 
適度に無知であることはいいことである。バイアスなく、ただ無心に作品と向き合える。まるでガイドブックを持たないひとり旅みたいに。
 
「どんな風に本を読んでいるのか見せましょうか」とパソコンで自動音声の抑揚のない声が次々とテキストを猛スピードで読み上げる。慣れるとこのスピードが楽で、感情の入った人間の朗読よりも機械的な音声の方がいいそうだ。そのほうが想像の余地がある、ということらしい。
 
「そもそも自分には目が見えない状態が普通で、“見える”という状態がわからないから、見えないことでなにが大変なのか実はそんなによくわからない。“見えないひとは苦労する”と言われても、その意味がわからなかった」
 
なーるほど!美術品の見方が変わる!見えるって脳なんだね。ワタシたちは何を見ているのだろう!?白鳥さんとアート、見に行きたいわー。超オススメです!(・∀・)