「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「跳びはねる思考」(東田直樹)

 
またまた読みました!東田直樹さんの本。ほんとに大げさだけど、世界平和に通じる本だと思う。多くの人に読んでもらえれば差別がなくなると思うわー!♪


僕は、二十二歳の自閉症者です。僕の口から出る言葉は、奇声や雄叫び、意味のないひとりごとです。普段しているこだわり行動や跳びはねる姿からは、僕がこんな文章を書くとは、誰にも想像できないでしょう」会話ができない著者の「考える歓び」に満ちた清冽なエッセイ。自分にとっての障害、人との絆、自然との一体感、かけがえのない幸福。生きることの本質を捉えて大きな驚嘆と感動を呼んだベストセラー、待望の文庫化!」そのエッセンスを紹介しよう。
 
 
僕にとって文章を書くことは、息をするのと同じくらい自然なことです。そう感じるのは、重度の自閉症という障害のために、人とコミュニケーションがとれないせいかもしれません。
 
・みんなから見れば、自閉症者の言動は謎だらけで、奇妙にさえ感じるかもしれません。この社会の中に、僕の居場所はないのです。まるで、広い海の中に浮かんでいる小舟のように、この世界を漂っています。
 
・理性を感情でコントロールし、会話によって思いを伝え合う現代社会は、僕にとって異次元に迷い込んだかのような世界です。人の目に映る自分の姿を想像しただけで、この世から消えてしまいたい気分になります。僕が抱えている心の闇は、どんな魔法をかけても消えません。
 
苦しくてたまらなくなると、空を見上げます。目に飛び込んでくるのは、抜けるような青空と白い雲です。見ている僕は、ひとりぼっちなのに、世界中の人とつながっている気分になります。自然はどんな時も、人々に平等です。そのことが僕の心を慰めてくれるのです。
 
時間の流れがわからない僕にとって、季節の移り変わりは、目で見て確認するものです。生き生きとした植物の緑、蝉の鳴き声、入道雲など、夏を感じさせてくれる風景が広がると、まるで、絵本のページを一枚めくる時のように胸がときめくのです。それまでは何も感じていなかったのに、夏が来たことがわかったとたんに、どきどきします。急に体が熱くなり、汗が噴き出ます。僕は目玉をきょろきょろ動かし、耳をそばだてなければいけません。そうして、なるべくたくさんの夏の印象を自分の記憶に閉じ込めなければ、その年の夏の思い出がなくなってしまうからです。
 
 
僕は確かに意味のないことをしているのかもしれませんが、そもそも人は全ての行動に理由などつけられるのでしょうか。
 
僕が植物をうらやましいと感じるのは、考えなくてもよいからではありません。植物は、どのような環境の中にあっても美しく咲こうとし、種を残そうとするからです。それは遺伝子に組み込まれた形態なのかもしれませんが、僕はその姿に圧倒されるのです。
 
水を見ているだけで、幸せな気持ちになります。みんなが想像しているみたいな「好き」という感覚とは違い、心の奥から湧き出るような喜びを感じるのです。つらいことも悲しいことも全て忘れ、幸福な気分にひたることができます。水を触っていると「大丈夫だよ」という地球からのメッセージが聞こえている気がするのです。誰にも気持ちをわかってもらえなくて、地球が僕の思いを受け止めてくれるような安心感を与えてくれます。
 
・僕は「デジャブ」が、自閉症者の感性のひとつに近いのではないかと思っています。
 
・重度の自閉症者の中には、僕のように、会話ができなくても歌なら歌える人たちがいます歌というのは、決められた歌詞を読むことです。そのことと、自分の気持ちや考えを話すことは、僕の脳の中では、全く別のものなのです。話したくないとか、緊張するから言葉が出ないのではありません。僕が話せない状態は、皆さんが経験したことのなる「ど忘れ」が、ずっと続いているようなものではないでしょうか。おわり。
 
人生とは、長い旅のようだという人がいますが、旅というよりは、ひとつの物語だという気がします。どの物語には、必ず終わりがあります。それが悲劇で終わるのか、それとも幸せな結末を迎えるのかは、作者以外誰にもわかりません。忘れてはいけないのが、実際の人生に、作者はいないということです。
 
もう二度と会えないような相手と、別れを惜しんだり、涙したりするのは、誰にでもあることでしょう。昨日までは、一緒にいるのが当たり前だったのに、明日からは、全く別々の場所で生きていかなければならないのは、ある意味とても不思議です。最初は違和感があっても、時間とともにずっと前から、その人はいなかったような感覚さえ覚えます。そして、何事もなかったかのように、いつもの毎日が続くのです。僕はこの感覚が、とても重要なものではないかと考えています。
 
人は別れを経験することで、時間をリセットしているのではないでしょうか。別れる人との時間が途切れれば、自分の時間のひとつがゼロになります。これは、停止ではなく、ある時点から再スタートするためのリセットで、新たな人生の始まりだと思います。
 
スゴイ。目からウロコとはこのことだね。多くの多様性の中で分かりあえる世の中になればいいよね。超オススメです!(・∀・)