「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「老神介護」(劉 慈欣(リュウジキン)大森望・古市雅子[訳])

 
よくいわれることだけど、この現代社会に、神様や仏様、イエス・キリストやお釈迦様が降臨したら、ビックリするだろうなあ!というハナシ。マンガにもなったよね。この時代の変化に戸惑うだろうなあ……!?(・∀・)
 
さてそんなリアルなストーリーがこの本。ナント!年老いた神様が地球に介護をもとめて地球に降りてくるというトンデモない展開に!♪
 
「突如現れた宇宙船から、次々地球に降り立った神は、みすぼらしい姿でこう言った。「わしらは神じゃ。この世界を創造した労に報いると思って、食べものを少し分けてくれんかの」。神文明は老年期に入り、宇宙船の生態環境は著しく悪化。神は地球で暮らすことを望んでいた。国連事務総長はこの老神たちを扶養するのは人類の責任だと認め、二十億柱の神は、十五億の家庭に受け入れられることに。しかし、ほどなく両者の蜜月は終わりを告げた」そのエッセンスを紹介しよう。
 
 
・世界のさまざまな都市で、年老いた浮浪者がどこからともなく次々に現れていた。彼らには共通した特徴があった。みんな年をとっていて、長く白い髭と白い髪をを生やし、白いガウンを着ている。「わしらは神じゃ。この世界を創造した労に報いると思って、食べものを少し分けてくれんかのー」
 
・こうした高齢浮浪者は半年も経たないうちに三千万人以上に増え、ニューヨーク、北京、ロンドン、モスクワの街角は、どこもかしこも、よろよろ歩く老人に埋め尽くされた。
 
・「わしらの文明はー神文明と呼ぼうー地球が生まれるずっと前から存在している。神文明が晩年に入り、衰退しはじめたころ、まだ誕生したばかりの地球で、最初の生命を育てた。そして、神文明は光速に近い速度で航行して時間を早送りし、地球の生命世界が適当なところまで進化を遂げたとき、ある種属にわしらの遠い先祖の遺伝子を植えつけ、彼らの天敵を滅ぼして、進化へと注意深く導いた。こうして地球にはわしらにそっくりな種属と文明が生まれたのだ」
 
 
「神々を扶養するのは人類の責任です。世界各国とさらなる協議を重ねなけれあばなりませんが、しかし原則的にはおそらく……」「世話かけるなあ。世話をかけるなあ……」神は老いた目に涙を浮かべ、また何度も頭を下げた。
 
・「じつはな、地球に来たのは生きるためだけじゃない。もう、二、三千年も生きているんだ。死んでもどうってことはない。わしらはただ、おまえたちといっしょに過ごしたかったんだ。おまえたちの生きる意欲、創造性や想像力が好きだし、大事に思っている。それはみな、神文明が早くに失ってしまったものだ。わしらはおまえたちの姿に神文明の幼少期を見た、しかし、おまえたちにこんなに多くの迷惑をかけるとは思いもしなかった。ほんとうにすまなんだなあ」
 
・「わしらが行くのは、おまえたちに邪険に扱われたからという理由ではない。受け入れてくれただけで満足している。しかし、ひとつだけ、ここにいられない理由がある。それは、おまえたちにとって神が哀れな存在になってしまったということだ。おまえたちはわしらをかわいそうに思っている。憐れみの対象にしているのだ」
 
・「この宇宙では、辛抱強く待ってさえいれば、どんな願いもかなう可能性がある。たとえほんのわずかな可能性であろうと、それは存在する。宇宙よ、おまえは梁と祝の物語の墓だ。そしてわしと彼女は、その墓から飛び立つ二頭の蝶になる……」
 
数百年後に起こりうるハナシかも。オススメです。(・∀・)