「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「大地(2)」(パール・バック)


読み継がれる名著というのはこの本のことをいうのだろう。90年前の本。ノーベル文学賞を受賞したというのもよく分かる。なぜだろう!?行間に、なぜか両親やご先祖様のことを、豪雪地帯に生きてきた小野塚一族のことを思い出すのは。(・∀・)

 

「十九世紀から二十世紀にかけて、古い中国が新しい国家へ生れ変ろうとする激動の時代に、大地に生きた王家三代にわたる人々の年代記」その第二巻。そのエッセンスを紹介しよう。

 
・昔から、女の泣き方は三種類に分けることができると言われている。声をはりあげて涙を流すのは高声で悲しむが涙が出ないのが声には出さず涙だけ流すのがであるが、王龍(ワンロン)の葬送に従う女のうち、彼の妻、息子の嫁、奴隷女、それから雇われた哭女(なきおんな)までいれて、泣の泣き方をした女が一人だけいた。それは、梨花(リホウ)だった。轎(かご)の中に座った彼女は、誰にも見られないように簾をおろして、声をたてず黙って涙を流していた「旦那様、そしてお父様、あたしのたった一人のお父様!」
 
こうして王龍が一生の心血を注いで買い集めた土地は、三人の息子たちに分配された。それは、もう彼のものではなくなった。彼のものといえるのは、彼が埋められている一片の土地だけになった。しかしこの人目につかない小さい場所から、土にかえった彼の地と骨とは、溶けて流れて、深い大地と一体になっているのだ。彼の息子たちは、大地の表面を好きなように勝手に始末するだろうが、彼は彼らの力が及ばない深い底に横たわっている。そして彼の分を所有している。それは、誰ひとり彼から奪えないのだ。
 
・老木の巨大な幹からさまざまの枝が分れて出る。根こそ一つだけれども、その枝は、幹から、そしてほかの枝からも離れようとして、みんな、てんでに伸びてゆく。それが王龍の三人の息子の姿だった。その中でもっとも強い、そしてもっとも片意地なのが、末っ子の王三(ワンサン)だった。彼は南方で軍人になっていた。
 
生前の王龍が何よりも嫌ったのは、戦争と兵隊だった。ところが彼の立派な土地は、今、そんなことのために手放されようとしているのだ。しかし彼は土の下に眠っていた。眠り続けていた。彼の息子たちのしようとすることを、誰一人としてやめさせることはできなかった。
 
・「あの旦那様の息子さんたちが、御遺言にそむきなさるなんて、まったく驚いてしまいますわ。わたくしは、かよわい、取るにたりない者ですが、黙ってはおれません。これだけは申あげます。旦那様は、きっと、仕返しをなさいますよ。旦那様は、あなた方がお考えのように遠いところにおられるのではありません旦那様の霊は今でも畑の上に残って飛び歩いておられます。土地が売られたのをご覧になれ、父にそむく不孝の子に、仕返しする道をおとりなさいます」

 

いいなあ。これからどうなるんだろう。この時代の生活って、家族って、土地ってきっとこうだったんだろう。今でも根っこは変わっていないような気がするが。じっくり読んでいきます。超オススメです。(・∀・)