「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「そこにある山 結婚と冒険について」その1(角幡唯介)

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いや〜この本、スゴいわー!角幡唯介さんってスゴいわー!これが男ぞ!これが人間ぞっ!(武田鉄矢ふうに)(・∀・) 読み進むたびに、ココロがスーッとなるっ!!!

 

人はなぜ冒険し、山に登るのか――「永久にわからないだろう、わかるはずがない、わかってたまるかこの野郎」と思い続けてきた謎を解き明かしたのは、まさかの「結婚」だった!?〈事態〉と〈思いつき〉を鍵に、極北で犬橇を走らせながら探検家・角幡唯介がつむぎだす人生論の極北を見よ!」そのエッセンスを紹介しよう。

 
 
【結婚の理由を問うのはなぜ愚問なのか】
 
 
・一般人には理解不能なわけのわからない冒険行を続けていると、講演やトークショーの折に横っ面をひっぱたかれるような質問が飛んできて、困惑することがある。これまで断然多かったのがどうしてそんなことをしているのですか?」という質問だった。いつも違和感と不愉快を覚える質問だ。なぜ冒険なんかしているんですか?」より気持ちがざわつく。これほど馬鹿馬鹿しい愚問はないと思っている。そもそも一人の人間が結婚することに、何か説明しなければならない明確な理由などあるのだろうか
 
・質問者が知りたいのは、私の生き方、すなわち冒険との関連から見た結婚の是非なのである。私は探検家としての自分の生き方とは無関係に結婚することにしたわけだ。自分自身の意志とは別の大きな力、時間の流れによって発生する人生の事態のひとつだと認識していたことのあらわれだったのだと思う。自分の生き方に関係なく、結婚すべき事態が目の前に立ち上がった以上、私はその事態のただ中に身を投げ出さざるを得なかった。私の理解では結婚とは選択ではなく事態である。
 
男を知るには、男ばかりいる世界にいてもどうしようもないわけで、女を知ることではじめて男への理解も深まる。それと同じようなもので生きている手応えを得るには、どうしても死に触れて、死をおのれの身体的な感覚や、精神的な実感のなかに取り込む作業が必要になる。端的にいえば、自然と触れ合うしかない。自然というのは生と死を生み出す母なる基盤である
 
妊娠、出産とは自分とは異なる別の生命体を、自分の腹のなかに抱え込んで融合し、最後に算出する営みであり、じつに無茶苦茶な生命現象だといえる。自分と異なるこということは、おのれの意のままにならぬ、ということであり、胎児はまさに「自然」そのものである。その意のままにならぬ大いなる自然を、女は自分の身体にまるごとおしこめてしまうわけだから、これはエベレストが身体の内部で造山しているようなもの、妊娠、出産こそまさに究極の自然体験型活動というほかない。ところがきわめて残念なことに、男という性はこの究極の自然活動を永久的かつ絶対的に経験することができないのだ。エベレストには登れても、女のようにおのれの身体の内部でエベレストを感じることは不可能なのである。
 
男は身体で独立的に自然で経験できないわけだから、その不完全な肉体をはなれて、身体の外側で、妊娠・出産にかわる充足的な自然を求めるしかないわけである。私の理論によれば、自然に触れて死の可能性を身体的に取り込まないかぎり生の手応えは得られず、人生が空虚で満たされないものとなってしまうのだから。
 
冒険とは、社会や時代のシステムから外側へ飛び出そうという行為のことである。システムの外側は国、法律、常識、慣習、科学技術が通用しない渾沌とした世界であり、いつの時代も冒険者の男性原理は管理された領域から、不確定要素に満ちた領域に飛び出しておのれの力を試そうとする。しかし、女は男たちのそのような身勝手なふるまいを決して許そうとしない女というのは、外に飛び出そうとする男を家というシステムの内側に引き戻そうとする重力そのものだ。
 
「私と山とどっちが大事なの?」という男を困らせる質問に、心のうちでは「山に決まってんだろ」と身も蓋もないことを考えている何しろこっちは子供を産めないわけだから、山にでも登らないと実在の虚無をもてあましてしまう通常は我慢してぐっとのみこむ。
 
結婚というのはリスクそのものである。しかもそれは想像を絶する甚大なリスクだ。そもそも相手がどんな人間なのかなど、一緒に暮らしてみなければわかったものではない。結婚してはじめて相手の本性は露わになる。さらに子供ができると結婚相手の性格も変貌する。女が妻から母親になると完全に別の生き物に変質するといっても過言ではない。要するに、赤の他人と一生を添い遂げる、これが結婚の真実の姿だ
 
冒険とは秩序に守られ、管理された日常的な領域から外側に飛び出す行為であり、システムのむこうの渾沌とした不確定な領域で展開される活動のこだ。そこはマニュアルや前例のない、将来を見通すことのできない不確実な世界である。どうなるとは現時点では読めない、冒険とは闇の中で手探りで進み、困難な局面を自分の力で突破して生きながらえる営為でり、随時立ち表れてくる偶発事を受け入れなければならないわけである

 

冒険心をくすぐるなあー!!日常から飛び出たくなるなー!超オススメです。(・∀・)

 

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