「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「坂の上の雲(二)」(司馬遼太郎)

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さあ、いよいよ坂の上の雲の第二巻だよ。幕末の話もいいけど、明治初期のこの頃はワクワクするよね〜!登場人物が生き生きとしているし、時代の空気が活字から伝わってくるようだ!(・∀・)
 
戦争が勃発した……。世界を吹き荒れる帝国主義の嵐は、維新からわずか二十数年の小国を根底からゆさぶり、日本は朝鮮をめぐって大国・清と交戦状態に突入する。陸軍少佐・秋山好古は騎兵を率い、海軍少尉・真之も洋上に出撃した。一方、正岡子規は胸を病みながらも近代短歌・俳句を確立しようと、旧弊な勢力との対決を決意する」そのエッセンスを紹介しよう。
 
 
この当時の日本は、個人の立身出世ということが、この振興国家の目的に合致していたという時代であり、青年はすべからく大臣や大将、博士にならねばならず、そういう大志」に向って勉強することが疑いもなく正義とされていた
 
俳句も短歌も子規によってよみがえらされたが、それまでの、とくに俳句は町の隠居のしまつぶし程度のもので、縁台の素人将棋とかわらない。子規は大学予備門のころものずきで俳句に入った。はじめはどうにもならぬほどへたで、どうしてこれほど下手な男が俳句にうちこむようになったのだろうとおもわれるほどのものだった。しかし、作るにつれてしだいにうまくなった。実作をかさねて練磨したというよりも、かれは古今の俳諧をたんねんに調べることによって文芸思想として深くなり、それが実作に影響したということのようが大きい。
 
「空想よりも実景の描写」というその芸術上の立場は俳句というものを完膚なきまでに調べたところから出発しているといっていいであろう。子規は俳句が判ってから師表になったのではなく、俳句の判らぬうちから師表となったのだ」と、子規の後継者となった七つ年下の高浜虚子は書いている。
 
「明治日本」というのは、考えてみれば漫画として理解したほうが早い。ほんの二十数年前まで腰に大小をはさみ、東海道を二本のすねで歩き、まげと独特の民族衣装を身につけていたこの国民がいまはまがりなりにも、西洋式の国会をもち、法律をもち、ドイツ式の陸軍とイギリス式の海軍をもっている。「猿まね」と、西洋人はわらった。世界の中華であるとおもっている清国清国で、日本人の欧化をけいべつしたもっとも日本人をけいべつしたのは、大清帝国の文明を信じ、その属邦でありつづけようとする朝鮮であった。
 
・いずれにしても、維新後国をあげて欧化してしまった日本と日本人は、先進国家からみれば漫画にみえ、アジアの隣国からみれば笑止な、小面憎い存在としてしかみえず、どちらの側からも愛情や好意はもたれなかった。しかし、当の日本と日本人は、大まじめであった。西洋を真似て西洋の力を身につけねば、中国同様の亡国寸前の状態になると思っていた。本のこのおのれの過去をかなぐりすてたすさまじいいばかりの西洋化には、日本帝国の存亡が賭けられていた
 
日本人というのは明治以前には「国民」であったことはなく、国家という観念をほとんどもつことなくすごしてきた。かれらは、村落か藩かせいぜい分国の住民であったが、維新によってはじめてヨーロッパの概念における「国家」というひどくモダンなものをもったのである。明治政府は、日本人に国家とか国民とかいう観念をもたせることにひどく苦慮したようである。
 
・要するに日清戦争は、老朽しきった秩序(清国)と、新生したばかりの秩序(日本)とのあいだにおこなわれた大規模な実験というような性格をもっていた。
 
・「良句もできるが、駄句もできる。しかしできた駄句は捨てずに書きとめておかねばならない。理由はない。ちょうど金を溜める人が一厘や五厘のお金でもむだにせずにこれを溜めておくのと同じである。そういう一厘五厘をむだにする者が決して金持ちになれないように自分のつくった句を粗末にして書きとめておかぬ人はとてものこと、一流の作者になれない」
 
・武蔵野のこがらし凌ぎ旅ゆきし むかしの笠を部屋にかけたり
 
この十九世紀末というのは、地球は列強の陰謀と戦争の舞台でしかない謀略だけが他国に対する意思であり、侵略だけが国家の欲望であった。帝国主義の時代である。そういう意味では、この時代ほど華やかな時代はなかったかもしれない。列強は、つねにきばから血をしたたらせている食肉獣であった。

 

いいなあ。これが八巻まで続くんだよね〜!楽しみだなあ!じっくり味わおう。オススメです。(・∀・)

 

 

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