全作品読破をねらっているほしおさなえさん。叙情あふれる文体がハマるんだよね〜!ときどき読みたくなるっ!(・∀・)
さてこの本もいいですよ〜!♪「女子校で起きた連続墜死事件。死んだ男性国語教師は女生徒と協力しあって書き上げた自作の新人賞受賞を死の直前に辞退していた。雑誌で作中の文章と同じものを発見したからだ。その文章の真の作者は誰なのか? 錯綜するテキストとP・オースターの小説『鍵のかかった部屋』。教師の自殺した妻が残した「ヘビイチゴ・サナトリウム」というウェブ・サイト。そして浮かび上がる密室殺人。詩人の見事なミステリ・デビュー作!」そのエッセンスを紹介しよう。
・「あなたはね、自分が大事すぎるのよ。あなたのデッサンは、 いつもどことなくあなたに似てる。気づかない? 無意識にあなたはその顔を追いかけてる。 石膏像を正確に見ているつもりえ、 手はいつもちがう顔を求めているのね。あなたというか、 あなたによく似ただれか。あなたはね、描くとき、 あなた自身になろうとしてる。あなた、描きながら、 描くってどういうことなんだろう、っていつも考えてるでしょう? それはね、自分自身ってなんなんだろう、 って考えてるってことなのよ。でも、 絵を描くってそういうことじゃない。でも、 絵を描くってそういうことじゃない。絵を描くっていうのは、 なんでもない透明なものになるってことよ」
・「ただなにも考えないで、 そこにあるものを身体に受け入れてしまう、ってこと。 もっと別の世界の流れに身体をまかせてしまえばいい。 自分が世界の一部になることを認めればいいの。 あなたはたったひとりの自分になろうとしてる。 なんの一部でもない自分自身であろうとしてる。 そうじゃないと存在できないみたいに。 わたしの絵がいいって言ったでしょう?あんなの簡単よ。 自分が存在し続けたいっていう気持ちを捨てさえすれば、 なんでもできるようになる。でも、つまらない。 絵がうまくなるなんてどうでもいいことでしょう?」
・「前、江崎(ハルナ)先輩が、言ってたんだ。 絵を描いていると、 どこかあかるいところに行けるような気がする、って。 目の前にいつもあるのとは、あったくちがう、すごくあかるい、 光の世界なんだって。それが目の前に開けてくる。 描いてるあいだは、それがずっと続いている。でも、 描くのをやめると、あっという間に消えてしまう」
・目が見えなくなって、思ったの。 見えないことが怖いわけじゃない、って。今まで、 なにもかも見えてると思ってた方がおかしいのよ。 ほんとに見たいと思ってものは見えてない。 あなただって思うでしょ?自分には生きてる意味があるって。 見るべきものがあるって。 でもほんとはわたしたちは単なる生物で、ただ生きて、見て、 死ぬだけ。 ほんとに見るべきものなんて存在しないのかもしれない。でもね、 わたしはあると思うのよ。
・「ねえ、死ってどんなものだと思う?暗いと思う? あかるいと思う?冷たいと思う?あったかいと思う?わたしはね、 死ががあかるいところのような気がするの。 ここよりずっとあかるくて、なにもかもがある。 そんな気がするときがあるの。ねえ、橋口さんはそう思わない?」
いいなあ……ひとつひとつのメッセージが、文章が含蓄深いんだよね〜!ほしおさんのミステリーもいいなあ。オススメです。(・∀・)