「風に訊け ライフスタイル・アドバイス」（開高健）

風に訊け (集英社文庫)

ワタシが高校、大学生だった1080年代ころ、小田急線で生田までいくまでの電車の中で、読んでいた週刊誌といえば、『週間プレイボーイ』『平凡パンチ』『GORO』 『BOMB』だった。今でも覚えているのが、『週間プレイボーイ』連載の開高健の『風に訊け』だった。30数年ぶりに読み返しました！いまでも色褪せない回答の数々！

「読者から寄せられた難問、奇問、珍問に人生の達人・開高健が名回答。笑い、ユーモア、ブラック・ユーモア、そして教養に満ちた異色の書」そのエッセンスを紹介しよう。

・【5月病】この春、東大に合格し、上京しました。とこどが五月病というでしょうか。ビニ本を見ても、勃起せず、大学にも行かず、ひたすら三畳一間の下宿で呆けています。やっとの思いでこのハガキを書きました。巨匠、私に活力を授けてください。（目黒区　呆太郎　19歳）

 

→　とりあえず三畳をやめて四畳半に移ってみたら、どや。

 

 

・【禁煙】中学三年からたばこをすっている高校二年生です。やめよう、やめようと思うのですが、どうしてもやめられません。どうしたらいいでしょうか。（更埴市　M・I）

 

→　たばこをやめるには、たばこを飽きるほど喫うことである。飽きるほど喫えば、飽きるんだからやめられるどう。マーク・トウェインは言ういるなー「禁煙なんて簡単なことだ。私はもう230回ほども禁煙している」

 

・【尊敬する作家】一筆啓上。明治、大正、昭和を通して、先生が最も尊敬される作家は誰ですか。その理由とともに教えて下さい。（松山市　愛光の星）

 

→　旧誤訳の旧約聖書の翻訳者。和・漢・洋、三つの文脈の完璧な昇華がここにある。この匿名の作家こそ、わがもっとも尊敬する人物である。昭和期に限って申し上げると、中島敦、梶井基次郎、井伏鱒二、これは敗戦前までに文体を確立した人、三人である。

 

 

・【頭のいい女性】現在、日本女性で本当に頭がいいと思える女性を一人だけ挙げてください。年齢、容貌、体重に関係なく、お答え下さい。短く。たった一言で。（足立区　OL　21歳）

 

→　大屋政子。もう一度いうー大屋政子。

 

・ホテルオークラのコック長とあるとき話をしていて、いいコックになる素質は何でしょうかと訊くと、助平でないよりは助平であるほうがいいと聞かされ、感ずるところがあった。その後、レストランであろうとハンバーガー屋であろうと、いろいろと森羅万象、観察しつづけた結果、だいたいこれは当たっているように思う。

 

・いい編集者になる条件は、長年観察した結果、次の三つの要素を持ってる男であると思われる。一つは、痴気。一つは、稚気。一つは、知己。この三つを持ってる男がおれば大ヒットするに違いない。

 

・「三つの真実にまさる一つのきれいな嘘を」（フランソワ・ラブレー）

 

・マーティニというのは、カクテル時代の最大のヒットである。カクテルと名のつくものでマーティニ以上のものをついに見つけ出すことはできなかった。マーティニは最高だと思う。私の好みであるが、マーティニだけがカクテルであり、他は太陽の前の星である。

 

「女陰の呼び方」で『アメリカ俗語辞典』のVaginaの項はすごい！」は、いいなあ！全部載せられなかったけど。何度も繰り返し読みたい本。超オススメです！(・∀・)

風に訊け (集英社文庫)