「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「越境者 松田優作」(松田美智子)

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越境者 松田優作

越境者 松田優作

 

松田龍平松田翔太の二人の息子をテレビで見るたびに思い出す。松田優作のことを。あの太陽にほえろ!の殉職のシーン、いまでも新鮮だよねー!(・∀・)

 

 太陽にほえろ!」「探偵物語」「ブラック・レインー。時代を熱狂させ、ハリウッドに渡った矢先、40歳の若さで逝った伝説の俳優、松田優作。栄光とともに語られるその人生の裏側には、壮絶な苦悩と葛藤があった。在日韓国人という出自への強烈なコンプレックス、ストイックすぎる仕事への姿勢、そして死の真相。今まで明かされることのなかった人間・松田優作の真実の姿を描く傑作評伝」そのエッセンスを紹介しよう。

 

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・「去年から般若心経の写経と、座禅が習慣になった。先月も寺にこもって座禅を組んだんだが、悟りの境地まで、あと一歩のところまでいった


・「俳優の仕事は、悟りに至るまでの道程だと思っている

 

・身長183センチ、鍛え抜かれた身体という外見的な男っぽさ、格好よさとは別に、彼は常に悩み、模索し、時に暴走して人と傷つけ、自分も傷ついた。男っぽいというよりは、繊細な神経の持ち主で、独りよがりな面も多分にあり、周囲との摩擦によるトラブルも度々起こした。「俺がちゃんと見ているものを、おまえたちは見ていない。アンテナを張りめぐさせていれば、絶対に引っ掛かるものを、見過ごしている」

 

・いまや伝説のヒーローとなった松田優作だが、私が知る限り、彼は綺麗事が嫌いでスマートなイメージが作られようとしたときには抵抗し、積極的にぶち壊そうとする男だった。明るい場所よりは暗く湿った場所を、直線よりは歪み、屈折の方に興味を持っていた。

 

「俺を、おまえの家の養子にしてくれないか」「それは、結婚しようという意味なの」「もう結婚しているも同じじゃないか。俺は書類上の手続きのことを話している。どうなんだ」「急に言われても……理由を話してよ。どうして養子になりたいの」「俺はな、まずおまえの気持ちを知りたかったんだ。無条件で俺を受け入れるのかどうか。どうやら、そんな気持ちはないみたいだな。もういい。忘れてくれ」優作は口を結んで、私に背を向けた。その後は私はなにを話しかけようと、無視し続け、ときおり、寒気がするほど冷たい、赤の他人を見るような視線を返した。

 

「お終(しま)いだ。別れよう。おまえが俺を拒絶したからだ」「どうして、こんなやり方で、私を試そうとするのよ…」「もういい。よくわかった。結局、おまえは俺を信用していないんだ」当時の彼は、二人でいる時間のごく些細なことにも反応し、いきなり怒り出した。なにが彼の神経を苛立たせ、突発的な行動に走らせるのか、その頃はまだ困惑の方が大きく、理解できていなかった。

 

「本当のことを知れば、おまえは俺から逃げていく。絶対に逃げる」ある夜、彼が呟いた言葉の意味を知ったのは、それから数ヶ月過ぎた頃だ。

 

・神田小学校を卒業するときには、卒業文集に将来の夢について「偉大なことをしたい」と書き、クラス単位の寄せ書きには「前進さらに前進」と書いている。生涯にわたって立ち止まることをしなかった、彼らしい言葉だ。

 

・尊敬する監督に対して「何を考えとるんだ、お前は」などという言葉をぶつけるのは、無礼きわまる態度に思えるが、優作にとっては一種の愛情表現であり、そんなふうに言える関係を楽しんでいた。

 

・彼は一定のイメージの役柄を演じ続けていたり、新しいチャレンジをしない俳優を「貯金で食っている奴」と呼んだ。守りの態勢に入っていて、進歩がないと。彼がロバート・デ・ニーロの名前をさかんに口にするようになったのは、デ・ニーロが、「貯金で食っている奴」とは、まさに対極の存在で、常に異なった役柄を演じ、カメレオン

に例えられる変化をみせていたからだ。

……壮絶だなあ……尖っているなあ……尖りすぎているなあ……やっぱり天才肌の人って人とは違う感性を持っているんだな……。松田優作ファン必読っ!オススメです。(・∀・)

 

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越境者 松田優作

越境者 松田優作