「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「空をつくる」(村尾亘)

 


空をつくる


高村光太郎智恵子抄「智恵子は東京に空が無いという ほんとの空が見たいという」というフレーズを思い出したよ。この絵本で。(・∀・)まるで東京の大都会の狭い空を比喩しているようだ。


空間を奪い合うように、せいたかのっぽの家が建てられていく。頭上の空が小さくなってしまった時、住民たちがある奇策を思いついた。「そうだ、空をつくろう!」絵描きのサルに頼んで、建物に空の絵を描いてもらうことを思いつくが……。そのエッセンスを紹介しよう。


ぼくが大人になるにつれ
みどりはつぎつぎと消え
かわりに家が建った
せいかたのっぽの家が きゅうくつに並んでいる。
遠くの山は もう見えない


空がだんだん小さくなっていったのさ。
見上げても 空が見えない


「このままだと気が変になってしまいそうだ」
「そとにいても 小屋の中にいるみたいだわ」
「空が見えないと、目覚めが悪くて やる気もでない」
そこで みんなは考えた。どうしたらいいいのか。


「そうだ、空をつくろう!」「空をつくる!?」
「絵かきのサルの家に きれいな空の絵がかざってあるだろう。
まちじゅうを ああいう空の絵でいっぱいにしたら
すこしは気もはれるんじゃないかな」
「いいね」「いいわね」「そうしよう そうしよう」


ぼくのところには「空をかいて」という注文がくるようになった
ふかい青 すきとおるようなあわい青 真綿のような白
いろんな色をつかって ほんものそっくりの絵をかいた


でも……。このまま空をつくりつづけたら、まちはどうなるんだろう。
ぼくたち、空をつくるなんてこと、してよかったのかな。

失ってはじめて ぼくは気づいた。
はてしない空は あまりまえにあるわけじゃなかったってことに。
なくしちゃいけないものだった、ってことに。



本を閉じて、じっと空を見上げたくなる、田舎に行きたくなる超オススメです。(・∀・)♪


 


空をつくる