「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「カツラーの秘密」(小林信也)

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カツラーの秘密

カツラーの秘密

 

 

細菌、ワタシも年相応に(?)髪の毛が薄くなってきた。(笑)かつて「ズラの歌メドレー」を作って歌っているが笑えなくなってきた。(笑)「トレンディエンジェル」化が近づいている。(笑)

 

さて、この本。笑える、ケッサク!電車で呼んではイケマセン!

僕は28歳でもう禿げていた。カツラにしてはみたが、苦難はつづく。これから禿げる予定の青年諸君へ、カツラ地獄に堕ちた先輩からの涙と笑いの告白とアドヴァイス。間違いだらけのカツラ選び!頭髪不満足の方へ先輩から助言します!ダメなカツラを選んで陥ったカツラ地獄とは?カツラー(カツラ愛用者)の涙と笑いの告白エッセイ」そのエッセンスを紹介しよう。

 
カツラにするしかないと考えはじめたときから、最大の問題はAD社かAN社か、どっちらのカツラが品質がいいのか。どっちが自然でバレないのか。①他人に気づかれない ②カッコ悪くない。考えつくカツラ選びの基準はそれしかなかったなにしろカツラに関してなにひとつ知識がない。
 
「育毛」は、髪が生えてくるように努力すること全般をさす。「養毛」は「はっきり髪が生えてきて、量が増えるほど顕著な効果が認められる場合」「育毛」は養毛ほど効果ない。努力はするが、実際の効果は明確ではない。「生えはしないが維持できている気がうする、と何割かの人が思える」レベルであろう。
 
初めてカツラをつけて仕事に向かう日は、ほかのどんな経験もたとえようのない不思議な緊張感で身体が強張った。女性が初めて化粧をして外に出る日もこんな感じなのか、いいあ、つけマツゲ、いや整形手術を受けたあと初めて友人知人に会うときと似ているか……。
 
・草野球の試合開始、カツラの上に野球帽をかぶっているから、カツラは気にならない。僕はすっかり安心しきってプレーしていた。ところが長打をかっ飛ばして一塁を回り、二塁に向かうところでフワッと帽子が富んだ。(あっ、ヤバイ!)帽子と一緒にカツラが飛んだ感触があったのだ。あわてて頭を押さえた。(ない、カツラがない!)振り向くとそれは、帽子といっしょにグラウンドに転がっていたそのとき、帽子をかぶるとカツラはかえってとれやすく危険なのだと初めて知った。止め金は、普段ならめったに外れる心配はないが、帽子との摩擦で髪の止め具合が甘くなたりするのだろう。汗で髪が滑りやすいせいもあるのか。僕は草野球を引退した。理由は「カツラ……」
 
・ハワイ島トライアスロンの取材に行ったときの話は、カツラ人生最大の危機のひとつだ。小さな飛行機は、搭乗口から飛行機まで、バスどころが歩いていかねばならない。吹きっさらしの滑走路。離島の強風ともなるとやはり思わず頭を押さえたくなる。帽子ならともかく、普通に髪があるハズの男が必至に自分の髪を上から押さえて強風に立ち向かう姿をどう考えても不自然だだったらいっそ帽子をかぶればいいと思われるだろうが、カツラは帽子に弱い。帽子をかぶるとその癖がついて、ペシャンとつぶれてそれっきりになる。
 
・小さな空港で手荷物検査を通ろうとしたときの話。X線チェックのゲートをくぐると、ビーッ!と英放棄が鳴った。まずいっ」イヤーな予感がした。飛行機に乗るたびにいつもこれが針のむしろだ。なにしろカツラには四個の金具がついている。ベルトも時計も、小銭入れも外す。ビーッ!また鳴った。僕はもう観念した。(すみません、告白します。私の頭はカツラです。カツラに金具がついていてそれで鳴っているんだろ思います。これ……外したほうがいいですか?)
 
カツラーはオープンカーには間違っても乗らない。過去に二度ほどオープンカーに乗る危機があった。一度はタイにトライアスロンの取材で行ったとき。トレーナーの白石は「これ、気持ちええわ、最高!」と、はしゃいで背もたれの上に座って髪をなびかせていたが、僕はひたすら助手席で低く低く身を沈めていた
 
(このまま一生、あきらめて行きていくのか?)
スポーツをしない。
取材に出ない。
他人と気楽に連れ添わない。
 
首の重さをずっと抱えて
寒い朝もパチンパチンと金具を叩きつけ
新聞をとりに出るにも帽子をかぶる。
 
地下鉄に乗らない。
自転車に乗れない。
スペース・マウンテンに乗らない。
オープンカーに乗れない。
屋外ロケのあるテレビには出演しない。
屋外取材のある仕事は引き受けない。
 
自宅でも窓際に立たない。
カツラなしではぼんやり庭にも降りられない。
突然の来客に大あわてでカツラを頭にのせる。
いつもいつも、頭を気にする人生。
 
特に、「どんなに疲れても、新幹線で居眠りできない!」「カツラの温泉に入っても、ぜんぜん気持ちよくないぞッ!」「ゴルフ場は危険が一杯」「スポーツライター生命の危機」「緊急入院!そのときカツラは?」「そこまでしてなぜカツラなのか!?」「カツラーの見分け方・外見編」「カツラーの見分け方・行動編」「カツラー・ファッション」「恋人はカツラーか?」「カツラを告白するとき……」「カツラーの恋とセックス」「ガマンは限界を超えていた」「AD社とAN社のルーツ」「風邪も大敵」「SV社と出会って、カツラ人生が一変」「頭髪の不自由な人に愛の手を」「藤巻潤徹子の部屋”の影響」「禿げのためテレビ出演を断る」など。

 

 なまなましい告白。これぞライターぞ!ジャーナリズムぞ!超オススメです!♪

 

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カツラーの秘密

カツラーの秘密