「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「日本凡人伝」(猪瀬直樹)

f:id:lp6ac4:20190625063201j:plain

日本凡人伝 (新潮文庫)

日本凡人伝 (新潮文庫)

  • 作者:猪瀬 直樹
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1985/02
  • メディア: 文庫
 

東京都知事猪瀬直樹氏。著作を読むのは初めてかも。こりゃオモシロイわ!1985年だから昭和60年か!この頃の都バスはワンマンじゃなくて「ツーマン」がまだ残っていたんだね。(笑)

 

「独特のインタヴュー形式の取材と構成でノンフィクション界に新風を吹き込んだ著者の出世作」 なかでも特にオモシロイ凡人を紹介しよう。
 


「キョーフの嗅才感覚 調香師・株式会社資生堂 研究所香料研究室主任研究員 上山重治氏の場合」

 

・道を歩いていますね、食べ物屋さんの場所が、すぐわかりますね。それで、うん、このソバ屋はけっこういい材料使っているな、なんてわかっちゃう。なぜか、ソバ屋の匂いがね、よくわかるんです。天麩羅なんか、いい油使ってるか、とか。古い油か新しい油か、魚の鮮度とかね。魚はもう絶対です。女性でも、やっぱりなんですかねぇ。男のね(バレちゃう)。男でも女でも、わかる。男性関係が見えちゃう

 

・入社して研修のあと、配属されましてからすぐ「匂い人生」が始まりましたね。たとえば天然材料がだいたい500種類ぐらいあるわけですよね。合成がだいたい当時でも2000種類(現在は5000種類)ありましたからねえ。それでタイプ別に、たとえば、柑橘の匂いなら柑橘の匂いをポイと出されてですね、これおぼえとけっていうふうに出されるわけですよね。本当にもう、英語の単語を覚えるのとおなじでもう繰り返しですね。暗記ですね、もう完全な。

 

通勤電車で、いつもいっしょになる大学の先生がいましてね。ある日、妙な臭いがするんです。やっぱり腐敗臭というんでしょうねえ。臭ったんです。次の日から先生の姿を見かけなくなりましたが、一ヶ月ほどたって、気になって問い合わせてみたら亡くなっていたんです。胃癌です。もうかなり悪くなっていて、あちこちに転移して手遅れだったようですけどね。そりゃ厭な気分でしたよ。人の死期がわかってしまうなんて。

 

その他、 暗い日曜日 葬式中継アナウンサー・ラジオ日本 制作第一部長 大林晃氏の場合」「田植えの秘密 スジ屋・東京北鉄道管理局 運転部列車管理課長 山崎喜三郎氏の場合」「去れどわれらが日々 都バス車掌・東京都交通局 目黒自動車営業所車掌 丸山絹子女史の場合」「火事場インタヴュー入門 消防調査員・東京消防庁予防部 調査課原因調査主任 渡辺政彦氏の場合」「乗り換え哲学 地下鉄車掌・帝都高速度交通営団 赤坂見附駅務区主席助役 柿尾雅夫氏の場合」「俺の消しゴム トラブル処理係・株式会社講談社 編集総務局編集総務部次長 小松道男氏の場合」「嗚呼、ルネッサンス 億ション販売人・東高ハウス株式会社 取締役社長室長 山田忠氏の場合」「明るいナショナリスト ウォークマン開発者・ソニー株式会社 PPセンター部長 黒木靖夫氏の場合」など。

 

これ、続編も出してほしいなあ。凡人の中に真実がある!オススメです。(・∀・)♪

 

f:id:lp6ac4:20191230201744j:plain

日本凡人伝 (新潮文庫)

日本凡人伝 (新潮文庫)

  • 作者:猪瀬 直樹
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1985/02
  • メディア: 文庫