「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「幻の小松左京 モリ・ミノル漫画全集」

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幻の 小松左京 モリ・ミノル 漫画全集

幻の 小松左京 モリ・ミノル 漫画全集

 

このGW中に衝撃的な本に出会いました!ビックリっ!SF作家の小松左京氏が漫画を書いていたということにビックリっ!そして手塚治虫が世に出た同時期にわずか2年で消えた、京都大学出身の幻の漫画家モリ・ミノル!それが同一人物だったなんて!そしてその漫画が復刻されていて今、読めるなんてっ!(・o・)!即買いしちゃいましたっ!!!


最後の第4巻の松本零士さいとう・たかをらとの対談、インタビューの抜粋を紹介しよう。


小松左京小学校二年生から、四年生ぐらいのころで、だれも十歳前後には漫画にたいする渇望があるようですね。それに漫画が好きなものだから、実は、そのころにザラ紙のノートを買ってきて、それにワク線を入れて漫画を描いてみました。ところがそれを親爺に見つかって、めったやたらに叱られたのを覚えています。

戦争が終わったとき、ぼくは中学三年生でした。その年頃というのは、みんな隠れ読みをしていたわけで、小栗虫太郎高垣眸とかそのあたりの人の作品を読んでいました。戦後に単行本が出始めたのは昭和21、2年頃でして、漫画ではやっぱり手塚治虫さんの新宝島が面白かった。神戸一中といういわばスパルタ式エリート校の生徒でしたが、買ってしまったわけです。新宝島』に凄いショックを受けた。とにかくカットが積み重ねられ、向こうから段々と主人公の乗った車が大きくなってくるのが描いてあるのを見て感動してしまった。

僕が三高に入学した翌年に不二書房から『ぼくらの地球』を出したんです。それを京都の朝日新聞の文化部記者が、京大生が描いた漫画というので新聞に載せてくれたの。その時は学校にばれたらやばいから、モリ・ミノルというペンネームで出したんだよね。
恥を忍んで申し上げましょう。小学校に入学したときの初恋の人の姓が「森」だったのです。それで、森をカタカナにしたわけです。


僕は家庭教師はだめでね。教えていて子供が憶えないと、ついぶん殴るから向いていない(笑)。ところが、漫画の方は不二書房に原稿を持って行って、一発で3500円、その次は5000円、最高が5500円、2回で1万1000円になる。かなり助かったね


松本零士)『大地底海』全体では地球の地殻構造、生命の進化、遺伝子の問題が扱われたSF漫画です。ここまで高度なSF漫画を描く人はいなかった。正確に言うと三人いました。ひとりは手塚治虫さん、医学的方面を中心とした天才です。二人目が田川紀久男。彼は若くして複雑なSF漫画を描いて消えられた人です。そして、モリ・ミノル先生です。『大地底海』は、地殻構造とか、生命の進化を扱った日本で最初の漫画です。この漫画は大阪の不二書房から出版されました。藤子不二雄赤塚不二夫の「不二」。このように不二書房から皆影響を受けたわけです。当時、漫画を志した少年の憧れの出版社があった時代に、同じ出版社からこの漫画た出されたわけです。ですから『大地底海』はそういう意味で、もの凄い存在なんです。しかも、この本は漫画の歴史のなかで幻の存在なのです。

『第五実験室』も実はある筋を通して原稿のコピーがぜんぶ私のところにありますが、小松先生に「復刻してよろしいでしょうか」と尋ねたら「人に見せたら、家に火をつけるぞ」といわれ、それで今まで押さえ込んできたわけです。(笑)

いいですか、これ漫画ですよ、この字の多さ。なにしろ、漫画なのに一ページ字だらけというページがあります。この字の多さ。ここに漫画家とSF作家という小説家になる分岐点があるわけですよ。ですから『大地底海』あたりに、小松左京という文学のほうに触れていくる原点があるということができ、ここから大作家が誕生したわけです。なにしろ私は14歳のころに見ているわけですが、16歳のときにはモリ・ミノルという名はなかった。それぐらい幻の存在だった。



・(さいとう・たかを)私はとにかく小学校四年生の頃からいろんなアルバイトしてましたから。ペンキ屋でアルバイトして、映画の看板も描きましたし。そして床屋にもなるんです。初めての作品が出たときに、床屋から漫画家になったという変わり種をいうことで毎日新聞に町の話題として取り上げられたんですよ。私は最初から仕事としての形から入って来ましたからね、その辺りの感覚は同世代の漫画少年が漫画が好きで好きで入って来たのとちょっと形が違うんではないですかね。こっちはビジネスだという気持ちで入って来てる。だから当時の作家連中とは話が合わないので随分困りましたね。僕がちょっと手塚さんの批判なんかしたら、もうみんなえらい剣幕で(笑)。

『大地底海』は、)そのSF見て「うわっ、これ50年早い!」って言ったんですよ。要するにSFとして出来過ぎっていうんですか、これは50年早いって思いましたね。


漫画の黎明期の「タンク・タンクロー(阪本牙城)」「弥次喜多珍道中(石田英介)」「青ノッポ赤ノッポ(武井武雄)」「空気男爵(さいとうたかを)」、読んでみたいね。

 

スゴいなあ!…この漫画を当時、現役で読んだ子どもたちの興奮が伝わるようだ。素晴らしい!文句なしに今年のベスト10入り間違いなし。超オススメです。(・∀・)♪

 

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幻の 小松左京 モリ・ミノル 漫画全集

幻の 小松左京 モリ・ミノル 漫画全集