やっぱり時々、この文章を読まないとね。東海林さだおさんの文章を。
初版が1976年だから、もう40年以上前なんだね。この頃から独特の文体は変わらないね。
「マンション・バスに乗ってみたり、阿波踊りに挑戦したり、競輪学校に入学してみたり、プロ野球に八つ当りしたりして、日本中を笑いの種にしてしまう愉快な珍道中」
そのエッセンスを紹介しよう。
・釣り人は、釣り糸をたれながら考えごとにふけるそうである。ぼくもふけらねばならぬ。サテ何を考えたらよいか。いろいろ考えたが、なにを考えたらよいのか、なかなか考えつかぬ。
・日本人は昔から、謙虚とは謙譲とかをもって美徳としてきた国民であるが、マンション(大邸宅)、パレス(宮殿)、パラッツオ(貴族の館)シャトー(城)、ヴィラ(大別荘)ヴィアンカ(別邸)……このどこに謙虚という言葉があてはまるのか。たかだか、3LDKの棟割長屋に、つけもつけたりパレス(宮殿)、シャトー(城)。
・天皇陛下が徳島県を訪れたとき、娯茶平連ほか四連が阿波踊りをご覧に入れたのだという。陛下の前に踊りが進んでゆき、「踊る阿呆に見る阿……」と、ここで踊り子たちは絶句したそうである。そのあとどうしたか「踊る阿呆に、踊る阿呆」で通したそうである。危ないとこだったのである。
・ぼくは先日、生まれて初めて、野球の硬式ボールなるものにさわる機会を得た。想像していたよりずっと硬く、しかも大変な重さである。ずっしり、という感じである。こんな硬くて重いものを、人間に向かって投げつけるなんて、南洋の土人ならいざ知らず、はっとヒゲを剃った紳士のやることじゃない。もしこんなものが、ぼくの体に当たったら、ぼくはキリキリ舞いして悶絶するだろうと思う。だが、彼らはそうでもないらしい。
今年こそ、全作品読破を達成しよう。オススメです。(・∀・)♫