すべてのJ-POPはパクリである【現代ポップス論考】 (SPA!BOOKS文庫)
「酒場のギター弾き」のワタシの特技は「耳コピー」である。これが出来ないと「流し」はできない。(笑)なぜできるのかというと、メロディーの構成に一定の法則やパターンがあるからなのだ。(・∀・)
小野塚:耳コピー!?
http://blog.livedoor.jp/samaster/archives/51712514.html
さて、この本。しまった!ワタシが書きたかったなあ〜!先、越されてしまったなあ〜!(・_・;)
「表題の「すべてのJ-POPはパクリである」というセンセーショナルな言葉が議論を呼んだ本書。ヒット曲によく使われている「カノン進行」という言葉も世に知らしめた。だが、本書で書かれていることの幅は単なる「パクリ批判」などの矮小なものでは決してなく、現代社会におけるものづくりの真髄にまで達する。ヒット曲の秘密を知るための音楽批評を超えた、現代社会批評の書。クリエーターのみならず、作品を楽しむ消費者目線でも楽しめる」そのエッセンスを紹介しよう。
・「十年目のプロポーズ」という曲は、「ヒット曲に共通する要素」を分析することで「ヒット曲の法則」という理論を見出し、その実践として楽曲制作したものです。
「ヒット曲の法則」
1 カノン進行
→ 日本のポップスのヒット曲で使われるコード進行にはカノン進行をベースにしたものが多いのです。
2 歌詞
→よく使われるのが「翼」「桜」「扉」「奇跡」という4つのフレーズ。「翼」なら「広げる」、「桜」なら「舞い散る」、「奇跡」ならば「起きる」などといったそれぞれ「セットとなる主語と述語」をうまくつなぎ合わせることで、聞き心地のいいフレーズができてしまう、というわけです。
このように実際にデータを集めてみると「もしかしてJ-POPは、工業製品なのではないか」という仮説が私の中に芽生えてきました。コードも歌詞も、J−POPという製品を組み立てるための部品であり、これだけ部品があれば、あたかも毎週「デアゴスティーニ」が自宅に送られてきてお城や船が完成するかのように、もしくは接着剤のいらないプラモデルが組み立てるがごとく、J−POP頻出ワードを継ぎはぎするだけで「ヒット曲っぽい歌詞」が書けてしまうのではないでしょうか。
3 楽曲構成
1971年の尾崎紀世彦さんの「また逢う日まで」は「それ以前の歌謡曲には存在しなかった3つの異なる楽節によってはじめて成立する楽曲である」
Perfumeが「音楽的に面白い」のは、彼女らは歌手にもかかわらず「生の声を届ける」ことをしなかったことです。歌声が「素材」として加工されたものが音源化され、ダンスパフォーマンスを重視するために口パクでライブを行いました。Perfumeを見ていて感じるのは「企業ロゴのような美しさ」です。
・AKB48はCDも「多くあるグッズのうちの一つ」という考え方を発明したわけです。歌手だったらCDを売ってなんぼという考え方よりも、もっと世の中の関心を引く楽しいことはイベントであるという方針を打ち出していきました。極端に言えば、仮にいい曲だったとしても曲の良さが優先ではない、ということをいち早くやっていたのがAKB48だったのです。この割り切りは秋元さんが作詞のみで作曲まではしない人である、ということが影響しているのではないかと私は考えています。
その他、「AKB48の曲がヒットする2つの理由」「ももクロのジャンクさは確信犯」「ジャニーズという「ジャンル」のすごさ」「長渕剛の「〜ちまった」」 など。
「J-POPは、工業製品」というのは言い得て妙だ!オススメです。(・∀・)