いまだに聞いているのが古今亭志ん生師匠の落語。とくに「火焔太鼓」は何度聞いても笑ってしまう。ナマで見たかったなあ。
あのしゃべり、なんともいえない雰囲気、間にいたるまで歴代最も好きな噺家は志ん生師匠だ。(・∀・)
さて、この本。「ビートたけしがいま初めて明かす、「志ん生」「落語」という自らの「原点」。たけしが志ん生に勝負を挑む!ビートたけしが最も敬愛する落語家として挙げる5代目 古今亭志ん生。戦後の東京落語界を代表し、「天衣無縫」とも言われた芸風で愛された落語家は、なぜこんなにも人の心を掴んできたのか。本書では、そんな志ん生の“凄さ"をたけし独自の視点で分析。いまのお笑い界、落語界を斬りながらとことん語る!」そのエッセンスを紹介しよう。
・古今亭志ん生さんに勝っている落語家っていまだに見たことがないんだよ。芸人全般を見渡したって、皆無なんじゃないか。志ん生という化け物は、本人の努力もあるんだろうけど、でもどこか突然変異のように現れて、困ったことにいまだに現代の人間に挑んでくるんだよ。オイラもずいぶんと負けず嫌いだけど、落語だったら、志ん生さんにはおそらくかなわないだろうなって自覚があるよ。この本では、オイラなりに志ん生がどうすごいのかを探して、勝負してみたいと思うんだ。
・オイラの見るかぎり、落語の長い歴史を考えても、最高傑作はやはり古今亭志ん生だと思う。志ん生さんて、出からサゲまで「俺の芸を見ろ」とという押しつけがましさを絶対に感じさせないんだよ。ただもう、お客が喜んでくれればいい、という。
・ウワバミに食われて、胃の中に入っちゃった弥次郎が、なんとか外に出ようとして口のほうを見るんだけど、そこには鋭い牙。こりゃだめだって尻尾のほうに逃げると、ちっちゃな穴がある。つまり肛門なんだけど、そこ目指して突き進んでワーッてなんとか逃げ出したら、ウワバミが悔しそうに、「さるまた履いてりゃよかった!」
・「でっかいナスの夢を見たよ」「どんぐらい?」「とにかくでかい。家とかそんなもんじゃない」「町内くらいか」「いや、もっと大きい」「ええっ?そんなにかい」「もう、暗闇にヘタをつけたようなー」
・「どうした、大声出して」「あの赤無地の犬がな、ノコノコ入ってきやがって、俺の下駄の脇で馬糞をしやがったんだ」「ふーん、憎い犬だな」「箒(ほうき)かなんかでひっぱったいて、腹割いて、熊の胆(い)をとってみろ。高く売れるぞ」「馬鹿だな、熊の胆がとれるのは鹿だろ」
・ネズミを捕まえたヤツが、「……ととと、捕ったぞお。ネズミだ。こりゃ大きいぞ」「大きい?尻尾がちょっと見えてらあ。そんな大きくねえぞ」「何を言ってやがんだ、こんチクショウめ。大きいぞ」「いや、小さいよ」「大きい」「小さい」すると枡の中からネズミが「チュウ(中)!」
・あるとき見た、談志さんのつかみも笑ったな。「えー」ってお辞儀したあと「いまジャイアンツ、6−1で負けてるよ」って。「でも、野球ってのはあれだな、トランプに『全とっかえ』ってのがあるけど、ドラフトなんかしなくてもいいから、全選手取り替えちゃえばいいのにな」なんてことも言ってたね。
・バスケットを初めて見たヤツが「おい、ネットが破けてるぞ!誰か教えてやれよ」なんて。ラグビーを見て「みんなでワイワイ引っ張りあうから、ボールの形がゆがんじゃったじゃないか!」
あ〜!志ん生師匠、聞きたくなった!さすがたけし!超オススメです。(・∀・)