「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「昆虫こわい」(丸山宗利)

  


[カラー版]昆虫こわい (幻冬舎新書)


虫が好きである。この地球上の大先輩!この世の中には、儀礼が大事である。先輩をお慕い申し上げている。さて、この本。


「体長わずか数ミリメートルの昆虫を求めて、アマゾンの密林や広大なサバンナへと世界を旅する著者は数々の恐ろしい目に遭ってきた。ペルーでは深夜の森で、帰り道の目印に置いた紙片をアリに運ばれ遭難しかけたり、カメルーンではかわいい顔したハエに刺されて死の病に怯えたり、ギアナでの虫採りが楽しすぎて不眠症になったり……。「昆虫こわい」と半ば本気で、半ば興奮を戒めるためにつぶやく著者の旅を追ううちに、虫の驚くべき生態や知られざる調査の実態がわかる、笑いと涙の昆虫旅行記」そのエッセンスを紹介しよう。


疲れている。理由は明白だ。初日から全然眠れていないのだ。ここは日本から見て地球の裏側にあたるフランス領ギアナ。今日で5日目だ。なんで眠れないのかというと、毎晩半徹夜で繰り返している灯火採集(布に光をあてて、集まる虫を採集する方法)があまりに楽しく、気持ちが昂って、どうにも寝付けないのである。「わざわざ地球の裏側まで行って何しているんだ」「いい歳をして」と思われるだろうが、私もそう思っている。


・私の研究分野は昆虫系分類学といって、世界各地をまわって、昆虫を捕まえてきては、新種として発表したり、遺伝子から進化の道筋を調べたりすることを生業としている。特にアリと共生する昆虫=好蟻(こうぎ)牲=実態は勝手に住み着いているだけで「居候」ないし「寄生」というほうがしっくりくるかもしれないーとくにハネカクシという甲虫のなかまで私のこれまでの研究内容の半分以上は好蟻牲ハネカクシを対象としたものである。


ハネカクシは実は世界で5万種以上が知られており、動物界最大の分類群なのである。コレは覚えておいて損はない。ハネカクシはいろいろな環境に進出しており、大部分の種は落ち葉の下や朽木の中に住んでいるが、一部の種はアリやシロアリの巣に共生している。大きいもので5ミリ、ちいさなものは1ミリ前後、とても小さな甲虫である。



・行列を眺めて、そこに交じっている好蟻性昆虫を採集する。これは私にとって至福のときであり、もっとも興奮する時間である。たとえば毎食でもいいぐらい寿司が好きな人が、回転寿司に行ったとして、穴子や活きアジ、中トロがまわってきたら、大喜びするだろう。実際にこの状況に近い。アリの行列は、長いときには10時間以上、延々と続き、まるで無限のベルトコンベアーのようである。


・私はハネカクシがやってうる行列のさらに先に陣取り。夢中になってハネカクシ吸虫管で吸った。私のこれまでの昆虫人生において、これほど充実して幸せな時間はあっただろうか。大好きなアリ型のハネカクシ、しかも何十年も見つかっていなかった憧れの珍種の数々を、よりどりみどり……私はこのために生きてきたのだ!!


ああ〜いいなあ!昆虫採集に行きたーい!ツノゼミハネカクシに会ってみたい。超オススメです。(・∀・)


  


[カラー版]昆虫こわい (幻冬舎新書)