……これはショッキングな本だ。これが現実なのだろうか……。「今や働く単身女性の3分の1が年収114万円未満。中でも10~20代女性を特に「貧困女子」と呼んでいる。しかし、目も当てられないような地獄でもがき苦しむ女性たちがいる。それが、家族・地域・制度(社会保障制度)という三つの縁をなくし、セックスワーク(売春や性風俗)で日銭を稼ぐしかない「最貧困女子」だ。可視化されにくい彼女らの抱えた苦しみや痛みを、最底辺フィールドワーカーが活写、問題をえぐり出す」そのエッセンスを紹介しよう。
・そもそも貧困とは何か。僕なりの考察では、人は低所得に加え「三つの無縁」「三つの障害」から貧困に陥ると考えている。三つの無縁とは、「家族の無縁・地域の無縁・制度の無縁」だ。三つの障害は「精神障害・発達障害・知的障害」。これらの障害は「三つの無縁」の原因ともなっている。こうした分類・分析・論証や議論から外れたところで、目も当てられないような貧困の地獄の中でもがいている女性、そして未成年の少女たちがいる。セックスワーク(売春や性風俗産業)の中で埋没する「最貧困女子」それが、僕が見てきた最も悲惨な風景だった。
・ルポライターとしての僕の心情は、もう限界だ。売春する相手への嫌悪感を消すために薬物中毒になった少女。「身体が売れなくなったら死ぬときだ」と真顔で言う16歳の少女は、はじめての売春は小学5年生のときだった。その身体中に、虐待の傷痕があった。売春で得た金で母と弟たちを養っていると誇らしげに語る中学3年生。知的障害を抱える母親のもとから家出し、同じく知的障害をもつ姉と二人で路上生活と売春を1年続けたという少女。風俗店5店舗に連続で面接落ちし、その週のうちに売春相手が見つからなければ「肝臓を売れることを教えてほしい」と言う20歳。取材期間中、幼い娘を残して自殺してしまった売春シングルマザーもいた。
・何も与えられず、何も恵まれず、孤独と苦しさだけを抱えた彼女らは、社会からゴミ屑を見るような視線を投げかけられる。もう、こんな残酷には耐えられない。繰り返す。抱えた痛みは同じなのに、なぜ彼女らは救おうとするものがこれほどまでに少ないのか。それを見過ごすことは絶対的に悪ではないのか。
……読み進むにつれてツラくなる……なんとかして救ってあげたい。ぜひ一読をオススメする。(・。・)