「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「メンチカツの丸かじり 38」(東海林さだお)

 


メンチカツの丸かじり (丸かじりシリーズ38)


エネルギーを使ったあとにお風呂に入ってリラックマするように、アタマが疲れたときには東海林さだおの本を読むことにしている。(笑)この視点と表現力がタマラナイ。面白すぎる。抱腹絶倒の東海林ワールド、シリーズ第38弾!そのエッセンスを紹介しよう。


【すき焼き、廃墟となる】


正月、四人のおっさんが居酒屋ですき焼き鍋をつつきながら飲んでいるうちに話題は廃墟になった。廃墟は懐かしいだけではない。滅びの美学、物悲しさ、物寂しさ、人為の空しさ。シーハをしながら、ふと何気なく食べ終わった鍋の中に目をやるするとそこの廃墟があった。すき焼きが行われたあとの廃墟。鍋の中は荒れ果てていた。見捨てられたものたちが、わずかばかりのわりしたの中に浮遊していた。長さ5センチほどのネギが一本、汚れきり、疲れ切り、精も根も尽き果てたように、クタクタになってそこに横たわっていた。グッタリしたネギに、一本の白滝がからまっていた。豪華客船タイタニック号の最後にも似た悲しい物語があったに違いない。


【お餅は踊る】


ぼくの子供のころは餅は常に裸だった。餅にはいつもじかに手で触っていて、裸と裸のつきあいだったなのに今はビニールで身を守っている。なんだか他人行儀。餅がよそよそしい


ビーフジャーキー立ちはだかる】


いま、肉の評価は「ヤワラカーイ」にある。そうした風潮に決然と立ちはだかる肉の一派がある。ビーフジャーキーである。どうです、このガチガチ。まるで板。いや、まるきり板。軟派対硬派。「人は見た目が9割」とかいう本があった。見た目はたしかによくない。多分、風呂にはあんまり入っていないかもしれない。粗暴な感じもあるかもしれない。近寄りがたい雰囲気も確かにある。見た目だけで人を推し量ってはならない。だが、ぼくは知っている。ビーフジャーキーはとてもいい奴なのだ。つきあえばつきあうほどいい味が出てくる。いい味が滲み出てくる。


【昆布茶の訴求力】


日本茶。熱ーいお茶が飲みたくなる。飲んだあと「アー」という声が出る。自然に出る。この時の「アー」は、お風呂に体に少しずつ沈めていき、肩までつかったときに出る「アー」と同じものである。ビールをコップに注ぎ、グーッと飲み干したあとも「アー」が出る。この三つの「アー」を、「人生における三大アー」と呼ぶ人もいる。この三つの「アー」は方針の「アー」であり、しみじみの「アー」である。人生における「アー」は貴重である。心を解き放ち、無心になる。


その他、「稲荷ずしに異変」「ヨーグルトの正義」「いとしの角砂糖」「焦げ目を見くびるな」「ラッキョウ漬けのカリリ」「ガンバレ、メンチカツ」「煮干したちよ」など。


ああーメンチカツ食べたい。すき焼き食べたい!そこらへんのグルメ本よりもお腹が空く。(笑)オススメです。(・∀・)


 


メンチカツの丸かじり (丸かじりシリーズ38)