「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「超思考」(北野武)

 


超思考 (幻冬舎文庫)


いつもながらビートたけし北野武の視点は鋭いね。アタマの良さが伝わってくる。注意書きがオモシロイ。(・∀・)


「本文中の極端な意見、過激な言説は、あくまで読者の大脳皮質を高めることを目的とする意図的な暴言であり、北野武の個人的思想、政治的見解と必ずしも一致するものではありません。暴言の裏が読みとれない、冗談の意味が分からない、無性に腹が立つなどの場合、直ちに読書を中止することをお勧めします」そのエッセンスを紹介しよう。


批判にさらされるのは、社会の注目を浴びるってことだから、むしろ見せ場だと思えばいい。商店街の喧嘩みたいに、野次馬が集まってどっちが勝つか見守っているわけだから、そこでうまく切り返して勝っていれば、一躍人気者になれたかもしれない。悪口を言われたら、もっちワルぶっちゃう。ワルでもなんでもないけれど、相手が笑うしかないくらい破天荒なことを言ってしまえばいい。笑ったらこっちの勝ちだ。


「めくら」って言葉には神経を尖らせるくせに「近所の交差点に盲人用の信号がついてない」と怒る人はめったにいない。問題は差別する人間の態度なのに、言葉だけを標的にしてしまうのはおかしなことだ。


・昔は「言わなくてもわかるだろ、それは野暮だよ」という文化があったから、言葉にしないことが、良い方向に作用した面もあったのだろう。言葉にしなくても感じたり考えたりしていたはずだ。だけど今はそういう文化そのものがなくなり、「言わないこと」と「考えないこと」が同義になってしまった。かくして、面倒なことはすべて思考停止の状態にしてしまう。


延暦寺の坊さんはカンカンになって怒るかもしれないが、死刑にして簡単に殺してしまうよりも、千日回峰行を極刑にしたらいいんじゃないか。ほとんどの死刑囚は途中で死んでしまうだろうけれど、もし万が一でも達成できたら、そういう人間だってもしかしたら変わるかもしれない。


・子育てのできない親から子供を救うために赤ちゃんポストというのがあるけれど、その老人版の「老人ポスト」を作るしかないんじゃないか。


・最近はエロコジカルが正義の世の中だから、メーカーは地球に優しいとかいう新製品を次々に世に送り出している。けれど本気で地球に優しくしたいなら、まずは買い換えなくてもいいくらい長持ちする製品を開発すべきだと思うのだがそれは絶対にしない。商売にならないのだ。


古今亭志ん生師匠が晩年のこと、廊下に粗相して、ウンコを拭かされた弟子が苦情を言うと「そんなものを嫌がるようじゃ立派な百姓になれない」と怒ったという話もある。なんで弟子が百姓にならなきゃいけないのか。何回聞いても笑ってしまう。志ん生そのものが落語だった。芸が羽織を着て歩いているような人だった。


・記憶力は鈍るし、距離感がなんだかおかしくなって、よく手足をぶつける。ひしひしと自分の老いを感じてはいる。だからといって老いに逆らおうとは思わない。積極的に老いを認めて、都合の悪いことはなんでも歳のせいにすることにしている。何か失敗しても、もうジジイなんだから仕方ないと開き直る。若い女の子にはどんどん手を出す。怒られたら、ボケたふりをする。若いものにはまだ負けちゃいないなんて、口が裂けても言わない。若いものには負けるのだから、負ける相手とは勝負をしない。それが喧嘩に勝つ秘訣なのだ。


・要するに、自分の歳に嘘をついてはいけないという話だ。アイチエイジングなんてものは、ハゲてる人がカツラをかぶると同じことで、自分で自分の歳が恥ずかしいと言うようなものなのだ。髪が薄くなったら、増やそうとするのではなく、残った毛を全部剃って坊主になったほうがいい。


・お笑い芸人の地位とギャラを上げたのは萩本欽一さんだ。あの人以前は、お笑いの芸人が司会をやるなんてことがそもそもあり得ない話で、ましてゲストの歌手だの俳優だのをからかうなんてことはあり得なかった。お笑い芸人は最下層の存在で、歌手や俳優は雲の上の人だったのだ。


・だいたい職業なんてものは、あんまり自分の気の進まないものを選んだ方が上手くいくものだ。幸せになりたいなら、いちばんやりたいことは趣味にしておいた方がいい。黒澤明監督が、本当は絵描きになりたかったという話は有名だけれど、本当に成功した人というのはたいていそういうものだ。気が進まないくらいの方がいろんなことがよく見える。


仕事を探すなら、自分のやりたいことは何かなんて考えてはいけない。仕事にやりがいがないなんて悩む必要はない。もし今の自分の仕事にやりがいを感じないとしたら、それは不幸なことではなくて、むしろチャンスなのだ。自分はこの仕事を冷静に見る目を持っていると思えばいい。冷静に考えれば、どんな仕事であろうとも、今よりは面白くできる。


・トイレがウォシュレットになって、あの新聞紙でケツを拭いていた時代はなんだったのだろう。だけど、どっちが人生に対する不安がないかと言えば、俺はあの新聞紙の時代だと思う。今の人は、トイレットペーパーがなくなったり、水道が止まったり、トイレにも行けなくなると大騒ぎするけど、昔の人ならなんの不安もない、だって、ケツは新聞紙で拭けばいいのだから。新聞紙がなければ藁だって蕗の葉だってケツは拭ける。


毎朝毎晩、仏壇を拝んでいる。心の中で8人それぞれに言葉をかける。「母ちゃん、ありがとう。今日はちょっと酒を飲み過ぎました。ごめんなさい。黒澤監督、おかげさまで今日の撮影も終わりました。相変わらずせっかちで、仕事中に手を抜いてしまいました。明日は簡単にOKを出さないようにします……」一日の報告というか、反省をするわけだ。誰に対して反省するのか。黒澤監督か、それとも自分自身か。俺は彼らと一緒に生きている。彼らとは二度と会えないのだという事実と、折り合いをつけながら生きている。


今は、放送禁止だろうけど、コレ、面白かったなー!規制が緩かったころ、よかったよね。オススメです。(・∀・)


亀有ブラザーズ
https://www.youtube.com/watch?v=OB8xA46LIlo



超思考 (幻冬舎文庫)