元経済企画庁長官の堺屋太一氏。この本は20年がかりで研究したという。確かに「組織」の研究ってなかったかも!?
「成功体験への埋没、機能体の共同体化、環境への過剰適応組織を滅亡させる「死に至る病」が現代日本を蝕む! 著者20年がかりの組織研究の成果を問う書下し」そのエッセンスを紹介しよう。
・今の世の中は、すべてが組織で動いているといえる。ところがその組織に関する研究だけは、著しく立ち遅れている。組織史だけは学問分野として確立されていないばかりか、太古から今日に至る通史さえもほとんど見当たらない。組織は社会の原点でもあり結果であっても、生態としては考えられていないのである。
・おそらくこれには、組織と学問との器質的な背反性も影響しているに違いない。一切社会で組織の運営管理に当たる人々は、現実志向にならざるを得ないので学問的興味が乏しい。一方、学術研究に秀でた人々の多くは、組織的な思考が薄く面倒な実務に入りたがらないこの結果、組織は存在としては認められても、体系的な学術研究の対象とはなり難かったのではないだろうか。
・組織の規模が拡大すると、一定の段階ごとに質的な転換が発生する。数十人から200人までは、一つの組織原理によって構成し行動することができる。ところが、これを超えると、一人の長では目が届かなくなり、管理監督のための組織が必要になる。中小企業から中堅企業へ、組織の質も飛躍する。さらに拡大して千人を超えると、管理監督機構自体を管理する組織が必要になり、全てを組織基準化しなければならない。
・巨大な組織が短期間で滅亡し消滅した例としては、大日本帝国の陸海軍もその典型に数えることができる。明治から昭和にかけての日本帝国陸海軍の興隆は、世界史上でも珍しいほど急速であり、その滅亡もまた、きわめて急激かつ完璧だった。旧陸海軍ほど何の後継組織も残さなかった組織も珍しい。
・一般に「良い組織」といわれるのは、大きな組織、固い組織、強い組織の3種類がある。つまり組織の良否を図るのにには「大きさ」「固さ」「強さ」という3つの尺度があるわけだ。
・組織は常に「大きさ」を求める。拡大こそは組織の本能的欲求といえる。だがそれが時には組織の没落と崩壊にも繋がるから難しい
特に、「豊臣家」「帝国陸海軍」「日本石炭産業」は、勉強になるなあ……。この本、深いなあ…。何度も読み返したいなあ…。超オススメです。(・∀・)