「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「ON記録の世界 全打席完全データ」(宇佐美徹也編著 )


ON記録の世界 (1983年)


図書館は絶版の本でも置いてあるのがイイよね。貴重な本に出会いました。1983年発行のコレ。王さん、長嶋さん=ONの現役時代を観られた世代というだけでも誇りだ。そのONの記録の世界。そのエッセンスを紹介しよう。


王、長嶋はプロ野球選手の理想像であり、特に興味深いのは対照の妙だ。記録は二人の性格の違いを次々と明かしてくれる。個性の違う、はっきりいえば正反対の二つのパワーがドッキングしたことーONが、かつてのコンビになり超猛威を振るった源はここにあると思う。長嶋、王が、20年、30年に一人の逸材であることに何人も異論はないだろう。ましては二人の大打者が同じチームに並ぶなど、今後その再現があるかどうか。この偉大なONと同時代に生き、そのプレーに感動し、二人が繰り広げた華麗な記録の世界に思う存分遊ばせてもらえた僕は本当に幸せだと思う。


デビュー試合に4三振ー日本野球に登場した選手は、57年まで3287人いるが、こんなショッキングなスタートを切った選手は長嶋茂雄のほかには一人もいない。一世紀の歴史を持つ米大リーグでも5人だけ。5人とも大成していない。4三振の屈辱を跳ね返したのは日米で長嶋だけということになる。カラッとした陽性の性格が幸いしてか、後遺症ののちの対戦にまったく現れていない。胸に痛く突き刺さった19球は、長島にプロの厳しさを教え、研究心と負けん気をかき立てるエキスとなった。



・張本(ロッテ)は代打で、.355、若松(ヤクルト)は同じく、.425をマークしているが王の代打率は通算.209と良くない。もちろん入団当初二本足時代の不成績がその大部分をしめているのだが、ちなみに米大リーグ本塁打男の代打率をみてみると、ハンク・アーロンが、.198、ベーブ・ルースも、.194。ホームランバッターは代打に向かないのかもしれない。


・普通選ぶというのは、ボールとストライクを判別することだが、王の場合、それは2ストライクをとられてから。その前に、本塁打を打てそうな球と、本塁打を打ちにくそうな球を選別する作業がある。王の各打席を、丹念にながめてみると、見逃しのストライクが結構多くあることに気がつく。ここで王が捨てているのは本塁打の打ちにくそうなストライク。2ストライクをとられるまではこの姿勢で選球するわけだ。長嶋は、どちらかというと早いカウントから打っていく傾向が強いが、王はそんなわけで2ストライクまで持ち込むケースが多い



・ルースやウィリアムスの選球眼の良さは有名だが、この面で王は二人に負けないものを持っていたに違いない。「王ボール」などというのの、王の抜群の選球眼が審判員たちの頭のなかに植え付けられていているためで、2ストライク後の際どい投球で王が見逃せば、とっさにボールの判定がでてしまうのはむしろ当然ともいえる。


「王と長嶋ではどちらが勝負強かったと思う?」と聞いて歩いたら8人までが長嶋と答えた。しかし走者を二塁以上の一打得点圏に置いた場合のチャンス打率で出してみると、長嶋.314、王.323 という、感じとは逆の結果がでてくる。走者一塁のケースでも、長嶋.321、に対し王の方が、.332と同じように高い。


・日本野球の通算三振王は引退した野村克也で1478、二番目が1319の王である。


本塁打に関しては、あらゆる記録を手にした感じの王だが、「一イニング2本塁打」は記録していない。23年に川上(巨人)が初めてマークしたあと白石(広島)飯島(大映)中田(阪急)山内、カークランド(阪神)大島(中日)は2度、さらに山崎(西武)掛布(阪神)をいままで8人がレコードブックに名をとどめている。


37年から53年までの17年間、セ・リーグ打点王は、巨人のON砲が独占した。王が13回、長嶋が4回だが、同じチームのコンビが、こんなに長くリーグを押しまくった記録はほかにない。いかに二人の力が傑出していたか。38ー49年までは100打点以上を記録した選手がONだけ、ほかに一人もいない。そしてこの間ONは、38、41、43、44年と二人揃って100打点以上を4度も記録しているのだから…。


・公式戦(4000打数以上)、オールスターゲーム日本シリーズー3つのヒノキ舞台ですべて3割以上の打率を残している選手は、日本野球ではいまのところ長嶋一人しかいない。張本(ロッテ)が公式戦と日本シリーズで3割をマークしながらオールスター戦で.292で挫折したあとは、わずかに谷沢(中日)がチャンスを残しているだけだ。


・35歳は、プロ野球選手の平均的限界年齢だといえる。小鶴、青田、杉山悟、中西、豊田、榎本、長池らの強打者たちも34歳ー36歳でバットを置いている。しかし王は40歳まで中心打者の座を譲らなかった。35歳を過ぎて5年連続30本以上の本塁打を続けた選手は、日米を通じて王一人しかいない



「不死身の怪物、故障明けに猛打」「野村のリード、執念の王封じ」など。貴重な写真も収録。今こそ、ONの偉大さを知ろう。超オススメです。(╹◡╹)



ON記録の世界 (1983年)