5年前から「食」に関わる志事をしている。建設資材 → 生命保険 → 教育・研修 → 「食」というなんの脈絡もないストーリー。(笑)
さてこの本は全著作読破をねらっている野地秩嘉氏の食にまつわるストーリー。
「食事を出す店には実はさまざまな人たちが出入りしているのだ。料理を目当ての客、素材を運ぶ業者、電気や空調設備の技術者、セールスマン、従業員の家族や友人たち…。レストランとは食事を出すだけの場所ではなく、人と人とが出会い、話をする場所でもあるのだ。私はレストランに関わるチャーミングな人間たちの物語をまとめてみたかった。どの店もどの人間も一流だ。『BRIO』連載を単行本化」その中でももっとも響いた人物を紹介しよう。
【あなたのために握る寿司 札幌・すし善 嶋宮勤】
相撲は日本の国技だ。天皇陛下やエリザベス女王が見に来るものだ。でも、相撲取りは裸だ。天皇陛下の前でも丸裸でも許されるのは相撲取りだけだ。……オレたち寿司職人もどこか似てるんじゃないだろうか。たとえ天皇陛下が来たって素手で握るのが寿司なんだから。そうすると寿司は料理の国技だ、オレがやってる仕事は胸を張ってもいいことなんだ。よし、オレは立派な寿司職人になってやる。そうか、相撲取りの肌がきれいなようにオレたちは手がきれいじゃなきゃいけない。相撲取りの身体に切り傷や吹き出物やかさぶたがないみたいにオレは手をきれいにしてなきゃいけないんだ。
女性外国人記者「あなたの握るお寿司と回転寿司とはいったいどこが違うのですか?」
嶋宮は短く答えた。「私の寿司はあなたのために握る寿司です」回転寿司だって決してまずい寿司じゃありません、、でも、回転寿司は誰が握っているのかわからないじゃありませんか。私は目の前に座るあなたのために握ります。あなたのことだけを想って精一杯握ります。あなたに会えて私は嬉しいのです。それが私の寿司、ニッポンの寿司なんです…。
その他、「三代目は大変だ 京都・嵐山吉兆」「ボーイズ・ビー・アンビシャス 四谷・オテル・ドゥ・ミクニ」「ブリュッセル 高浪豆腐店」「境 げこ亭」「湯河原 石葉」「夷隅 千葉夷隅ゴルフクラブ」「ヴェネツィア ハリーズ・バー」など。
特に「寿司善」と「境 げこ亭」はぜひ行ってみたいなあ!オススメです。(・∀・)