「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「地名でわかる水害大国・日本」(楠原佑介)

    


地名でわかる水害大国・日本 (祥伝社新書)


この本は深イイなあ…。日本人なら知っておくべきだなあ…。(・_・;)


毎年繰り返される水害。なぜ日本の天災では、圧倒的に水害が多いのか。実は、先人たちはその場所に注意を差し向ける意味で、地名の中で警鐘を鳴らしてきたのだ。「この場所は気をつけろ」というのが、地名から類推できるのだ。しかし地名が変わり、地名の込められた意味がわからなくなってしまっているのだ。そのエッセンスを紹介しよう。


・日本における自然災害と呼ばれる事象の中で、水害は頻度が圧倒的に高い。平成初年から25年までの四半世紀の間、計1300件を越し、その死者・行方不明者数は計1700名近くにのぼる。なぜ、日本では水害による被害が、これほど多いのか。まず、その第一の理由として日本列島の「自然の宿命」を挙げなくてはならない。


・過去に地表を襲った災害の痕跡は、地形に刻まれて残るし、その痕跡は地名として記録して残されている。


鬼怒川は古くは毛野(けぬ)川と呼ばれたが、平安期には「衣川」中世には「絹川」とも書かれた。和語のケ(毛)とキ(木・牙)は「先端が尖り日夜、成長する」点で共通し、本来は同語・同語源である。「鬼が怒る」という表記になったのは、戦国期〜近世初頭ごろからだったように思われる。


水田地帯に数10センチばかり嵩上げして「〜丘」とか「〜台」などと称して売り出す商法も問題だが、かつての水田面に直に基礎工事をし、建造物を建てている例もよく見かける。これでは出水したら一たまりもないだろう。今回の鬼怒川水害でも、新築まもない家が基礎ごと水に流された光景がいくつも見られた。


高須 → 過去に何度も何度も川が決壊して押し出された土砂が堆積し、微高地となった地のことではないか。


押切 → (大量の水で堤防が)押し切られたおとを示す地名とみて間違いあるまい。また、押川・押沼・押堀・押戸・押田なども、ほぼ同様の地形を呼んだものかと思われる。


龍ケ崎 → 鬼怒川・小貝川の「流れ出る先端」という意味の地名。


荒井 → 「荒れる川」。「荒川」「荒井」「新川」「新井」は同義、類義の地名だろう。


せんげん台 → 千間堀を「〜台」とした手法は、歴史的・伝統的地名が正しく継承されることを願う立場からすれば、とても了解しがない。


落合 → 河水が落ち合う地点を示す地名である。


「音無渓谷」とは「音が無い」のではなく、音を立てて流れる川を「音を成す」と表現したもの。


難波 → 傾いて水に濡れる地。


河内 → 川があること、谷間になったところ、河流に囲まれたところである。


・阿武山、阿夫利山、雨降山 → 危ない山のこと。


安易に地名を変えちゃダメなんだねえ…。深イイなあ。オススメです。(・_・)


    


地名でわかる水害大国・日本 (祥伝社新書)