「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「江戸の下半身事情」(永井義男)

  


江戸の下半身事情 (祥伝社新書)


時々、江戸時代に戻りたいと思うときがある。携帯もパソコンも放り投げたいときがあるよね。(・∀・)


さて、この本、現代日本人にも通じる江戸市民の「性愛感覚」とは?かのシーボルト品川宿で目撃したのは、位の高い御仁が白昼堂々と娼家に出入りする姿だった。「まるでコーヒーでも飲みにいくかのように!」と驚嘆しながら、彼は記した江戸の下半身にまつわる諸事情とは?そのエッセンスを紹介しよう。


・江戸期の春本をはじめ、明治から昭和初期にかけてのエロ本にはかなり目を通してきた。つくづく思うのは、けっきょく男と女の関係は変わらないということである。制度や環境が変わっているだけで、最後にすることは同じである。しかし、江戸時代に我々がとうてい想像できないような、あるいは戸惑うような事情があった。することは同じとしても、その前段階、あるいは後段階で江戸ならでは不便や困難、苦労があった。


・江戸時代、三世代同居は普通であるが、大きな根本的ともいえる違いは、江戸時代の家屋は話し声や話し声や物音が筒抜けだったことである。音に関するかぎり、まったくプライベートがもてなかった。部屋の仕切りは細くて薄い木材と紙でできた障子や襖だった。防音効果皆無、もちろん内側から鍵もかけられない。襖一枚をへだてただけで、隣室に親やきょうだいが寝ていたのである。廊下を歩く人とは障子一枚をへだてただけだった。


・こんな住環境で、夫婦はいったいどういう性生活をしていたのだろうか。夫は両親やきょうだいが寝静まったのをたしかめ、妻は舅・姑や小姑の寝息をうかがい、できるだけ音を立てずに……。基本は「静かに」である。嬌声をあげるなど、もってのほか。へたをすれば事後処理のガサゴソという紙の音すら隣室に聞こえてしまう。


話し声や物音はほぼ筒抜けだった。赤ん坊の鳴き声や、夫婦喧嘩のののしり合い、皿や茶碗の割れる音は部屋中に響き渡る。プライベートの欠如や相互監視、干渉と表裏一体だった。板壁はすきまだらけで、あちこちに節穴もあき、音漏れどころか、簡単に内部をのぞき見ることもできた。朝の光がさして来れば家のなかでしていることは外からは丸見えだったのである。


江戸時代は売春が驚くほど盛んだった。これは、住環境が劣悪だったことも大いに関係しているのではなかろうか。男たちは、性の楽しみにを外に求めたのではないだろうか……。結局でどこに行こうが、江戸時代の木造家屋は防音効果がまったう期待できない住環境だった。男たちは割りきっていたのではあるまいか。自宅(屋敷・裏長屋を問わず)では、周囲に気を使ってひっそり。いっぽう、外(吉原、岡場所、宿場の女郎屋など遊里)では、他人に聞かれることなど気にせず、思い切り羽目をはずす。どうせおたがいさまと思えば、恥ずかしくもない。もしかしたら「旅の恥はかき捨て」ということわざは、こういう男の心理をさしているのかもしれない。

その他、「江戸のラブホテル」「十五、六歳までに性体験」「若いうちに遊んでおけ」「フーゾク都市江戸をのぞく」「性風俗こそ江戸の一大文化」など。


オモシロイ、実にオモシロイ!オススメです。(・∀・)


  


江戸の下半身事情 (祥伝社新書)