「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「本日は、お日柄もよく」(原田マハ)

   


本日は、お日柄もよく (徳間文庫)


仕事柄、人前でしゃべる機会が多いんだけど、というか、しゃべる仕事なんだけど、自分でも意外なのは、結婚式のスピーチをやったことが一度もない!司会は、10回、歌を歌ったのは20回くらいかなあ。スピーチだったら歌を歌わせてくれー!って言っちゃうからねえ。(・o・)


さて、この本はオモシロイ!今年のベスト3に入るだろうなあ。

山手線の電車広告で見た人も多いんじゃないかなあ。




「OL二ノ宮こと葉は、想いをよせていた幼なじみ厚志の結婚式に最悪の気分で出席していた。ところがその結婚式で涙が溢れるほど感動する衝撃的なスピーチに出会う。それは伝説のスピーチライター久遠久美の祝辞だった。空気を一変させる言葉に魅せられてしまったこと葉はすぐに弟子入り。久美の教えを受け、政権交代」を叫ぶ野党のスピーチライターに抜擢された!目頭が熱くなるお仕事小説」そのエッセンスを紹介しよう。



・「まず出だしね。『ご紹介にあずかりました、鈴木でございます。』これは、日本人がスピーチするときに、ついついやってしまう悪い癖なんだな。スピーカーが登場する以前に、司会者が名前も会社名も役職も紹介しているわけなんだから、わざわざ繰り返す必要はない。『鈴木でございます』って始まった時点、聴衆は全員。興味を失う。あなんたの名前なんて何度聞いてもおんなじだろ、って」


『本日は、お日柄もよく』あのスピーチで評価できるのは、あのフレーズだけね。最近、誰も使わなくなった常套句でしょ。それをわざわざ持ち出したことで、聴衆は。あ、きた、って思うわけ。


「世の中に、早ければ早いほどおいしいものが、みっつあります。1、ボジョレー・ヌーボー(ふむふむ)、2、『吉原家』の牛丼(爆笑)3、結婚(ほお〜)。今日は、会場にこのみっつが勢揃いしていますね。大変、幸先がいい。そう思いませんか、皆さん?」


「そして、年月を重ねるほど、深いうまみが増してくるものが、みっつあります。1,愛情(おお〜)。2,人生(おお〜)そして3,結婚です」


スピーチの大基本「静(しずか)」壇上に上がって、まず5秒待つ。会場が静かになるのを。5秒で無理なら、10秒。それでもだめなら15秒。たいてい、聴衆は15秒以内に鎭まる。スピーチの導入部分も、あくまで静かに始める。「ただいまご紹介にあずかりました」とか「ひとことお祝いを述べさせていただきます」のような、無駄な枕詞は極力避ける。いきなりエピソードから始めてもいい。結論を先に言ってしまってもいい。とにかく、最初のフレーズがどんなふうに聴衆の耳に届くか。それでそのスピーチの印象が決まる。あくまでも、静かに、けれど心を打つ入口を作る。「静かに静かに始めて、中盤あたりで徐々に盛り上げていく。そして最後に心をつかむ。最初の静かな一言と、最後の情感のこもったフレーズで、聴衆の感動の振り幅が決まるの」


言葉っていうのは、魔物だ。人を傷つけも、励ましもする。本やネットを目で追うよりも、話せばなおのこと、生きた力をみなぎらせる。この魔物をどう操るか。それは話す人次第なのだ。いい魔物にするのも、悪い魔物にするのも、スピーカー次第。聴く人を落ち込ませるのも。元気にするのも、全部、スピーカー次第なのだ。私はすでに、この魔物に取りつかれてしまったんじゃないか。そんな気がする。


『困難に向かい合ったとき、もうだめだ、と思ったとき、想像してみるといい。三時間後の君、涙がとまっている。24時間後の君、涙は乾いている。二日後の君、顔を挙げている。三日後の君、歩き出している』


・スピーチの極意 十箇条


1 スピーチの目ざすところを明確にすること
2 エピソード、具体例を盛り込んだ原稿を作り、全文暗記すること
3 力を抜き、心静かに平常心で望むこと
4 タイムキーパーを立てること
5 トップバッターとして登場するのは極力避けること
6 聴衆が静かになるのを待って始めること
7 しっかりと前を向き、右左を向いて、会場全体を見渡しながら語りかけること
8 言葉はゆっくり、声は腹から出すこと
9 導入部は静かに、徐々に盛り上げ、感動的にしまくくること
10 最後まで、決して泣かないこと。


ストーリーも良いし、スピーチのツボとコツが満載しているから2倍楽しめる。超オススメです。(・∀・)



本日は、お日柄もよく (徳間文庫)