「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「ホッテントット・ヴィーナス ある物語」(バーバラ・チェイス=リ

これはスゴイ、ショッキングな本だ…。小学生の頃、先生から聞いたことのある「ホッテントットという単語、40年ぶりに聞いた…。


「19世紀初頭、南アフリカからロンドン、パリに連れてこられ、「ホッテントット・ヴィーナス」の呼び名で見世物にされたサラ・バールトマン。その死後は、医学のためと称して解剖され、パリの人類博物館に展示・保存された。当時、科学の名のもとに、黒人である彼女に向けられた偏見に満ちたまなざしとは?本書は、実在したアフリカ女性を主人公にしたポストコロニアル文学の傑作」そのエッセンスを紹介しよう。



私は黒いムーア人、黒い皮膚におおわれた邪悪。顔がひしゃげた者やふたつのからだがくっついている者すべてに神の罰がくだるという警告ににして象徴。神は私をエデンの園ばかりか、人類からも追放して罰したのだ。私は「生まれてきてはいけないもの」、イヴのイメージで創られたにもかかわらず、彼女には似ず、人類にさえ属していない。私は獣と人のあいだに存在する、「失われた環」の雌であり、3フラン払って、怪物の形や入りを遠巻きに眺めるパリの観客たちに、発見の喜びをもたらすためだけに創られた自然の驚異だった。ときおり、私は狂ったようにうなったり、唾を吐いたり。金切り声をあげたり、シーッと言ったりした。ときには踊りながら声を立てて笑うことや、ギターを弾きながら歌い出すこともあった。


見難いもの、粗野なもの、文明化されていないもの、野蛮なもの、不格好なもの非難の的になるもの、そういったものすべてに、私の名前、ホッテントットがつけられたのだ



ホッテントット、すなわち白人たちが私たちの言葉の響きから名づけた「どもる民」は、イギリス人にとってもオランダ人にとっても狩りの獲物だった。私たちの言葉は、ほかのどの言葉とも似ず、発音できない舌打ち音や破裂音の多い、まねてしゃべることのできない言葉だった。ボーア人はそれを「ホッテントット」と呼んだが、それは言葉ではなくて、七面鳥の鳴き声だった。私たちにすれば、ブウブウ鳴いて、ゴボゴボ喉を鳴らしているようなオランダ語のほうがいやだったが、少なくとも私たちはその言葉を話すことができた。彼らの言葉の方こそ「ホッテントットと呼ぶべきだった。しかし、例によって勝ったのは白人だった。私はいつもそれが不思議でならなかった。


美の総仕上げは、私たちの性器=ホッテントットのエプロンだった。その部分を大きくし形を整えることに取り掛かった。というのも、それこそが女らしさ、性的魅力、花嫁としての価値を表す究極のシンボルであり、それは処女であることよりももっと重要だった。


「おやおや、彼女のこの巨大な尻ときたら、まさにヴィーナスの象徴じゃないかーカリピゴス、つまりベル・フェス、美しい尻、愛すべき尻、堂々たる臀部ーいずれにしろきみの標本はヴィーナスと呼ぶのがぴったりじゃないか?ホッテントット・ヴィーナス・どうだい?」


私達の現在の平和の影にこのような出来事があったことは忘れてはならないよね。オススメです。(・∀・)