「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「億男」(川村元気)


あの衝撃的なタイトル世界から猫が消えたなら川村元気、待望の小説第2作は、またまた衝撃的!「億男」。そのタイトルとおり、宝くじで3億円を当てた男の物語


人間にとってお金とは何か?「億男」の幸せとは何か?「お金と幸せの答え」とは? そのエッセンスを紹介しよう。



野口英世樋口一葉も貧乏だったらしい。貧乏で苦しんでいた人が、死後に紙幣になるなんて、彼らはどう思っているのだろうか。「きっと貧乏には楽しいことがたくさんあるに違いない。そうじゃなければ、こんなにたくさんの人が貧乏でいるはずがない」昔読んだお金の本に、こんな言葉があった。この言葉が教えてくれたのは、貧乏を楽しむ方法ではなく、この世界はお金の皮肉であふれているということだった。一男が三億円を手にすることになったのも、そんな皮肉めいたある一日の出来事がきっかけだった。


・「君は、お、お金が好きかい?」「もちろん好きさ。嫌いな人などいないだろう」

「じゃあ聞くけど。君は一万円札の大きさを知ってるかい?」「ごめん、分からないよ」

「縦76ミリ、横160ミリさ、重さは1グラム。どれも調べればすぐ分かることだよ、一男くん、そこで君に言わなくてはならないことがある。つまるところ、君はお金が好きじゃないんだ。だって自分の体重や、家族の好きな食べ物や、好きな女性の誕生日は気にしているのに、毎日触れているお金の大きさや重さを君は知ろうともしていない。本当に興味があれば、お金のすべてを知ろうとするはずなんだ。どんな色で印刷されていて、どんなものが描かれているか仔細に見るはずだ、だけど君は今までそんなものを見たことがないだろうし、知ろうともしてこなかった。つまり、君はお金に興味がないんだ


・ひとつだけわかったことがあるんだ。人間には自分の意思ではコントロールできないことが、みっつだけある。死ぬことと、恋することと、あとお金だ。で、でもお金だけが違うんだ。…その理由はこんど話すよ。


・あなたは本当に家や車が欲しいの?あなたが今、心の底から欲しいものは何?


僕たちを幸せたらしめているものは何か。僕たちの生を繋ぎ止め、明日へと生かすものとは何か。それは柔らかいバスタオル、風に揺れるカーテン、ベランダではためく洗濯物、並んだ歯ブラシ。焼きたてのパン、甘いリンゴ、淹れたての珈琲。一輪のチューリップ、笑顔の家族写真、心地のよい音楽。そのどれもが、お金で買えるかもしれない。けれども、それとともにある幸せは、誰かと一緒でなければ手に入れることはできない。ひとりでは難しい。誰かと共有していなければ、その幸せな、ひとときを。


・「死ぬことも、恋することも、人間が誕生したときからそこのあったものだ。だけどお金だけが、人がみずから作り出したものなんだ。人の“信用”を形に変えたものがお金なんだよ。人間がそれを発明し、それを信用して、使っている。だとしたらお金は人間そのものだと思わないか?だから僕たちは、人を信じるしかない。この絶望的な世界で、僕たちは人を信じるしかないんだ」


チャップリンは言う。「人生に必要なもの。これは勇気と想像力と、ほんの少しのお金さ。戦おう。人生そのもののために。生き、苦しみ、楽しむんだ。生きていくことは美しく、素晴らしい。死と同じように、生きることも避けられないのだから」


「宝くじ当せん者たちのその後の悲惨な人生」って皮肉だねえ。宝くじあたってみたいけどねえ。オススメです。(・∀・)