「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「龍馬の船」(清水義範)


坂本龍馬に関する本は数々あれど、この本は、「龍馬は船オタクだった」という観点から描いた龍馬伝なのだ。とても新鮮でイキイキとした若者だったんだなー。そのエッセンスを紹介しよう。


この人の弟子になろう、と決めた。そう決めた理由はいろいろあるが、いちばんの決め手は、その人の名前だった。勝義邦、通称は麟太郎というのがその人の名だが、号を海舟というのだ。海と舟、という名である。
わしの大好きなものが二つ並んで人の名前になっている。この人こそわしの師たる人だ、と思ったのである。


「お前さん、船が好きなのかい?」と勝はきいてみた。航海のことを話すと、龍馬の目がキラキラと輝くからだ。「はい、大好きです」と龍馬は大きな声で答えた。


勝は、龍馬の船オタクぶりに圧倒されてしまったのだ。日本は今まさに、ゼロから海軍を生み出さなければならないのだ。そういう時に、こんなにも船が好きな人材がいるとは、願ってもないことなのである。


龍馬のこの憧れは、たとえば現代において、宇宙旅行を夢見て、ロケットやスペースシャトルに憧れる人間がいるのに似ているかもしれない。蒸気船とはそれほどに文明の象徴だった。そして金持ちの子の龍馬は、おそれ気もなく素直に、あれがほしい、と思えるのだ。どうすれば手に入るのかは見当もつかないのだが、好きだからほしい、と願望がストレートなのである。
船を見たことが、龍馬の人生を決定づけた。わしの蒸気船を持ちたいがや、ということのためにひたすら駆け抜ける人生が始まったのである。


なるほど!「船オタク」という視点から見ると新しい龍馬像が見えてくるね。実にオモシロイ。オススメです。(・∀・)