「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「傷だらけの店長  街の本屋24時」(伊藤雅彦)

子どもの頃、本屋さんに憧れた。ジモトに小さな行きつけの本屋さんがあり、そこは知のワンダーランドだった。今は、Amazonで買っちゃうんだけどね。(^_^;)

さて、この本は壮絶だっ!街の本屋さんがこれほど大変な思いをしているとは思わなかった…。

本屋の日常は過酷な闘いの連続だ。繰り返される万引き、達成不可能なノルマ、限界を超えた作業量。何より給料が安く、満足に休みも取れない。それでも著者は、心血を注いで棚を作り、理想の書店を目指して働き続けた。ところが近くに競合大型店が出店! 勤務する店舗はたちまち赤字に転落した。このまま書店員を続けていけるのか。働く大人の共感を呼ぶリアルな苦悩と葛藤の記録」そのエッセンスを紹介しよう。


・22時。今日はまだ、朝届いた補充分の書籍の棚入れが終わっていない。さらに常備品の入れ替えを二社、五箱分ほど処理しなければならない。終電は零時36分。その5分前には店を出たい。それまでにすべて終わるだろうか。書店員にとって「明日やろう」という言葉はない。明日は明日で、また大量の荷物が到着する。接客や営業マンの対応、その他諸々の業務の合間にすべての作業を終えるには、会社から与えられた業務時間があまりにも短い。荷物の多い月末などは、始発から終電まで時間をフルに使わなければ、とてもさばくことはできない。


書店の給料の低さ、土日は休みがとれないこと、早くは帰れないことなどは結婚前に。くどいほど話してあったはずだが、いざ結婚してみるとやっぱり妻は、私の仕事への不満や疑問を口にした。どうして私は書店員であり続けるのだろうか。


万引きは絶対許さない。老若男女の区別なく、私は常に苛酷な態度で彼らに臨む。逃げれば徹底的に追うし、捕まればトラウマで二度と本屋に足を踏み入れられないくらい散々な目に遭わせてやる。かつて捕まえた高校生は退学になり、文庫を盗んだ老人を叩きのめした。それは自業自得だ。危険はある。正直、会社のためでもない、私はただ、必死で仕入れをして陳列した商品が、バカどもにぬけぬけと盗まれていくのが我慢できないだけだ


朝から晩まで店にいれば、怒るネタには事欠かない。朝出勤すればすぐに理不尽なほど組みにくい付録雑誌との格闘、いつまで経っても来ないし問い合わせれば行方不明の客注品、継ぐ次に来訪する出版社営業の対応で進まない陳列作業、意味不明の客の問い合わせやクレーム、ときおり電話を寄越し、宣言のごとく一方的な指示を発してくる本部、寝坊して遅刻する従業員、計算が合わないレジ…出勤から退勤まで、そのつど噴出しようとうねるマグマのような灼熱物を、いつも身の内に感じている。


・私は「本」に絶望したわけではない。本が好きで書店員となり、本の世界を多くの人たちに伝えたいと願い、そして「書店」という戦場で行く先を見失い、そこで見る夢をあきらめ、いま、こうして未練を断ち、「書店」から去っていく。


街の本屋さんが消えていくのは淋しいねえ。共感しちゃうなあ…オススメです。(*_*)