「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「りんごは赤じゃない 正しいプライドの育て方」(山本美芽)

いや〜この本は感動した!こんな先生に出会いたかった!(・∀・)


「子育てに追われ、気が付いた時には離婚していた主婦が、自立のために勉強し直し、中学の美術教師になった。先入観を捨てさせる独特な指導法のもとに、教え 子たちは中学生とは思えない作品を作り上げ、同時に自信とプライドも育んでいく。「どんな子でも、一生懸命磨いてあげるとダイヤのように光り始める」が モットーのカリスマ教師、太田恵美子の「心を育てる」授業、その感動の記録」そのエッセンスを紹介しよう。


女子美術大学図案科を卒業した太田恵美子は、結婚してから専業主婦として子育てに専念していたが、三十六歳のとき一念発起して小学校の教師になり、またたく間に指導者としての才能を発揮しはじめた。中学校に美術教師として異動すると、わずか二年目にして教え子が「読書感想画中央コンクール」で最優秀賞を獲得。中学校の玄関に飾られた生徒の絵の独創的な構図、鮮やかな色彩、繊細なタッチ、そこに込められた作者の意志。中学生とは思えない、完成度の高い絵。いったいどんな授業を受けたら、中学生がこんな絵をかくようになるのか。


太田は美術室を心なごむ空間にしようと、大変な労力と費用を注ぎ込んできた。観葉植物やゼラニウム、テーブルクロスなどは、学校のお金では買ってもらえないので、自費で買い揃えた。壁を埋め尽くす生徒の作品の額縁は、学校で通常使われている塩化ビニール製ではなく、高価なガラス製のものを毎年少しずつ備品として増やしてきた。


・生徒はみんな美術室に来るのが大好きだ。「ここに来るとホッとする」「いつもお花がきれいに咲いている」「どこの教室も散らかっているのに、美術室はいつもきれい」「この部屋には、太田先生の心を感じるよね」ここは、ホッと一息つける「オアシス」なのだ。


・中学生の美術の時間は、一年生で週二時間、二、三年生は週に一時間しかない。従って太田と生徒が向き合える時間は、きわめて限られている。太田は、この「限られた時間」で生徒に何を教えられるかを常に考えている。まずは生徒に自分の話を聞く体勢を作らせること。それができなければ、どんな話をしようと生徒の心には届かないからだ。


太田はクラス全員に対してほめ言葉をかける。「教室に一番に来た」「誰よりも早くスケッチブックを開いた」「資料の移し方が丁寧」「字がとてもきれい」など。ほめ方の天才になるための第一歩は、とてもシンプルである。それは、子どもが100%「いい子」になってから読めるのではなく、1%の段階から認める心を持つことだ。


・ほうれんそう、にんじん、じゃがいも、たまねぎ、ナス、ブロッコリー、りんご…全員が家から持ってきた野菜や果物を机の上に並べたところで、太田はこう質問する。「りんごは何色?」「赤!」得意になって、子供達は元気いっぱいに返事をする。「きゅうりは?」「みどり!」そして太田は子供たちの目をじっと見て、ひとこと質問する。「ほんと?」子どもたちは一瞬ハッとする。体に染みついた「りんごは赤」という先入観。りんごの色が赤ではなく、黄色やみどりをはじめとして多彩な色が混ざり合っていることは、「りんごは赤」という先入観をとりはらって、はじめて見えてくるものだ。


「『塗る』という言葉は向こうの方に捨ててください」と太田は語りかける。「塗る」という言葉には、壁にペンキを塗る、といった太い筆で広い面積を、帰一な色で埋め尽くすイメージがある。そうした描き方では、自分の考えや心を、絵に託しきれるわけがない。「塗る」という言葉を「色をおく」「描き込む」に言い換えると、どんな筆を持って、どんな色を選ぶのか。画用紙に向かう子どもの気持ちにまで変化が起きる


また、絵を描きたくなりました。オススメです。(・∀・)