「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「モンスター」(百田尚樹)

今をときめくベストセラー作家、百田尚樹。バラエティに富んだ作品はどれもオモシロイよね〜!以前から読みたかったのが映画化されたこの本。(・∀・)


田舎町で瀟洒なレストランを経営する絶世の美女・未帆。彼女の顔はかつて畸形的なまでに醜かった。周囲からバケモノ扱いされる悲惨な日々。思い悩んだ末にある事件を起こし、町を追われた未帆は、整形手術に目覚め、莫大な金額をかけ完璧な美人に変身を遂げる。そのとき亡霊のように甦ってきたのは、ひとりの男への、狂おしいまでの情念だった」そのエッセンスを紹介しよう。


・私がブスだった。いや、ブスという言葉は軽すぎる。そう、私の顔は畸形的とも言える醜さだった。


美しい女にはすべてのチャンスが与えられる。それはドラマでも映画でも証明されている。玉の輿もシンデレラもすべて美人の物語だ。しかしブスにはそのチャンスもない。おそらく「美人」と「女」は違う生き物かもしれない。そして私のようなブタでブスは女でもないのだ。


・私は恋をした。それもまるで少女漫画に出てくるような恋だ。でも少女漫画と違うのはヒロインが美しくも可愛くもないところだ。私は同世代の女の仔以上に恋に憧れた。それは私が醜かったから。人は手に入らないものに憧れる。「お前には無理だ」と言われたらそれが一層欲しくなる。


英介が恋しい。彼が欲しい。英介に愛されるなら死んでもいいと思った。もし残りの寿命と引き換えに彼の愛を得られるなら、それでもいい。彼の両手に抱かれるなら、その瞬間死んでもいい。英介に会いたい。しかしそれは叶わぬ夢だ。英介は私を憎んでいるに違いない。いや、憎んではいない。英介は私を怖がっている。私を狂人だと思っている。気のふれた女。自分の目を潰そうとした女だ。あの時。たしかに私は狂っていた。英介に恋するあまり、頭がおかしくなっていたのだ。


・化粧と整形は同じようなものと言えるかもしれないけど、ある意味、整形の方がインチキではないわ。だって化粧はメイクを落とせば素の顔がばれるけど、整形はそれが素の顔だもの。一生落ちない化粧という言い方もできるかもしれないよ。


・私は、うまれついて美しい女性よりも、あなたの美しさの方がずっと素晴らしいと思う。美しく生まれてきた女性が一体どんな努力をしたというのですか。彼女たちはただ美しく生まれただけです。金持ちの家に生まれた子供のように。しかしあなたは違う。自分の力で美しさを勝ち取った。同じ皮一枚でもあなたの方がずっと素晴らしいというのはそういうことです。


・その瞬間、涙がこぼれた。崎村をだましたことによる後悔ではない。崎村の真心に打たれたのだ。崎村は私が醜い女だったことを知っている。本当は美しくない女であることを知っている。そしてどんな仕事をしてきて女であるかも知っている。その上で求婚してくれたのだ。


・英介のものが入ってくる時、かなり痛みを感じた。久しぶりだったからかもしれない。完全に入った時あまりの気持ちのよさに一瞬気を失いそうになった。でもそれは肉体的な快感ではない。完全に精神的なものだ。ついに英介と結ばれた嬉しさで涙が止まらなかった。声を上げて泣いた。私は二十年かけて、ついに英介を手に入れたのだ。とうとう英介を手に入れた。英介の体も心も手に入れた。失った時間も愛も全部取り戻した。遠い昔に切れてしまった赤い糸を再び結びつけることができた!


・その時突然、心に暗い影が走った。それは英介が愛しているのは和子ではなく未帆だという思いだった。英介は未帆という美しい女に心惹かれただけだ。和子の赤い糸はちぎれたまま漂っているー。


男って、女ってそうなんだよね。そう考えているんだよね〜!そしてラストシーン。美帆は自分の目的を達成して幸せだったのだろうか…。いろいろと考えさせられる本。超オススメです。(・∀・)