「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

プロ野球「衝撃の昭和史」(二宮清純)

今年のプロ野球も終わったねえ…楽天イーグルスの日本一で締めくくりだねえ…。(・∀・)…これから半年は淋しい日々が続く…。

さて、この本は、これまで語られることのなかった12本の球界秘話が明かされる。月刊「文藝春秋」で反響を呼んだ二宮清純氏の特別連載待望の新書化なのだ!どの章も面白くて、一気に読んじゃうんだけど、その中でも一番響いたのを紹介しよう。



落合博満に打撃の師匠がいたー見て盗んだ“オレ流”バッティングの原点】


日本のプロ野球界で三冠王を三度も獲得した落合博満。グリップエンドをへその位置に置き、バットを立てる独特のフォームは神主打法と呼ばれ、一世を風靡した。落合といえば代名詞は「オレ流」だが、そんな落合にも「打撃の師匠」がいたことは、あまり知られていない。


「高校時代から人に教わることが好きではなかったが、オレにも唯一、打撃の先生と呼べる人がいた。昭和58年限りでロッテを退団されたキャッチャーの土肥健二さんが、その人だ。入団二年目の鹿児島キャンプ。土肥さんが偶然、オレの隣で特打ちをやっていた。それを見て「はあ、うまいこと打つな。あれをまねできた…ヨーシ、オレも真似してみよう」と思ったのがそもそものはじまりだ。勝手に先生を決めて、あの人が打ち始めると必死で見た」


ひと言で言うとハンドリング(腕の使い方)のうまさ。肩から下の腕の振りはすばらしい。こねたりしないで、バットを素直にそのまま送り出すという感じ。バットを放り投げる感じでね。来たボールの軌道にうまいことからだを合わせて、そこからバットと腕のしなりを利用して払ってやるわけで、それがなんともうまかった」


落合のバッティングの最大の特徴は、ボールの軌道にバットを入れることにあった。分かりやすく言えばボールを「点」ではなく、「線」でとらえるのだ。これも土肥の考え方と重なる。


落合は2ストライク後の打率が異常に高かった。三冠王に輝いた85年には三割七分四厘という驚異的な打率を残している。バッターの基本は追い込まれる前に打つことだ。91年の落合の2ストライク後の打率は.282。他の強打者は、原辰徳.192、広沢克己.183、門田博光.165、清原和博.163、いかに落合が追い込まれてから勝負強さを発揮していたかが理解できる。落合は「追い込まれても打てるのではなく、追い込ませてから打つという今まで見たこともないタイプ」なのだ。


上達の極意について、落合はこう述べている。「目で吸収、頭で吸収、からだで吸収。簡単に言うと、この三つをやればいい。つまり、他人のいいものを盗んで、それを自分のものにしてしまう作業をするわけ。目で吸収というのは、人のするのを見る作業だ。試合前のバッティング練習やランニングをするかわりに、オレはこれをやっている。敵味方を問わず、人のバッティング練習をジッと見る。バックネットのそばやウェイティングサークルとか、ベンチの中で雑談しながらでもいい」


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やっぱり野球はいいねえ。面白いねえ。超おすすめです。(・∀・)