すごい本を読みました。ウワサにきいていた「まほかるワールド」の「ユリゴコロ」。(・∀・)
「亮介が実家で偶然見つけた「ユリゴコロ」と名付けられたノート。それは殺人に取り憑かれた人間の生々しい告白文だった。創作なのか、あるいは事実に基づく手記なのか。そして書いたのは誰なのか。謎のノートは亮介の人生を一変させる驚愕の事実を孕んでいた。圧倒的な筆力に身も心も絡めとられてしまう究極の恋愛ミステリー!」
そのエッセンスを紹介しよう。
・私のように平気で人を殺す人間は、脳の仕組みがどこか普通と違うのでしょうか。もし、人殺しが治る薬というのもできるかもしれないと、そのとき思いました。もし現実にそのような薬ができたなら、やはり私も飲んでみると思います。殺したいから殺すというだけで、罪悪感など持たない私ですが、それでも人殺しが止まるというのなら、やっぱり飲んでみたいものです。どうしてなのか、我ながら不思議です。
・医師は、ユリゴコロがないというのはたいへんなことだ、とか、この子なりに何かのユリゴコロを見つけ出せればいいのだが、などという言い方をすることもありました。
・母が別人に入れ替わったという幼児の記憶。あれはほんとうにあったことなのかどうか。もし事実だとすると、入れ替わる前の母はどこに行ってしまったのだろう。母だと思ってきたあの母は、いったい誰なのだろう。
・アナタは私を生かしておかない。アナタに殺されることだけが私の救いです。アナタは私のアナタだからー。どうかそのことを、いつまでも忘れないでください。
・さっきから続いているこの、心が丸く膨らんでいくような快感、これは楽しいということなんだと、突然理解したからです。膨らんで、弾んで、気球みたいに飛び立ちそうな感覚のなかに、膨らみすぎてはじけてしまうのではないかという不安も少し混じっている、楽しいという言葉はもちろん知ってはいましたが、楽しいと感じたことは一度もありませんでした。部屋のなかのものみんながオーラを帯びて、新しく出現したばかりのように見えます。楽しい、はどことなくユリゴコロに似ていました。
・読んでいる間じゅう、この子供は僕自身なのではないかという思いが、しきりと頭にチラついた。殺人癖のある女が実の母、その女を買った行きずりの男が実の父ー。そう考えると身体の内側にびっしりと鳥肌が立つような気分だ。
…途中で読むのをやめてしまおうかな…と思ったくらいの重々しい内容が、なぜか後半は愛の話になる。不思議な感覚だ。オススメです。(・∀・)