「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「逆説の日本史9 戦国野望編 鉄砲伝来と倭寇の謎」(井沢元彦)

今年全巻読破を目標としている井沢元彦氏の歴史ノンフィクション「逆説の日本史」傑作シリーズ!いよいよ戦国武将たちが登場!そのエッセンスを紹介しよう。


・人類の歴史が始まってから、ほんの数十年前までの実に長い長い期間、役者(芸能人)というのは、差別される存在だったのだ。だからこそ、娘が女優になると、父は激怒し弟は自殺するなどいうことがあったのである。差別には「人類」「宗教」など様々な原因があるが、その中でも大きな要素の一つに「職業差別」がある。例えば、日本ではほんの数十年前まで、役者に対する差別語として「河原乞食」という言葉が堂々と使われていた。


「乞食」とは辞書を引くと、「食物や金銭を人から恵んでもらって生活すること」とある。つまり端的に言えば、「仕事もせずに人から寄食している怠惰な人間」に対する軽蔑語として「乞食」という言葉が存在したのである。つまり権力者の側から見て、芸能などは正業ではないということだ。いや、単にそれだけではなく生産性もないと見ていたということである。今の経済学では有り得ないことだが、昔は、「目に見えるモノを作る」ことだけが、「生産」である。だからこそ、役者などはいかに興行成績を挙げ人々を楽しませ景気を良くしようが、「生産性ゼロ」なのである。「河原乞食」とは実は「田畑を耕している百姓」の反対語なのである。農民こそ本来の国民(=百姓)だという強い概念があるからなのである。



・歴史には、様々な視点があるが、その中の重要な視点の一つに、「歴史は定住民と否定住民の抗争史である」というものがある。しかし、このことを認識している人は少ないし、理解してもらうのも極めて難しい。


・なぜ、われわれ日本人は戦国時代に憧れるのだろうか?私は、その大きな理由の一つに、この時代が最も「非日本的」な原理の時代であることを挙げたい。


日本には「騙しの文化」がない。簡単に言えば、「騙すのは当然、騙されるのはバカ」という文化である。


・戦国武将の中で、名将と呼ばれる人物には、実は一つ共通点があるのだが、おわかりだろうか。武田信玄上杉謙信毛利元就北条氏康今川義元ーこの五人に共通するものは、全員、金山(銀山)を持っているということなのだ。戦争とは巨大な投資である。余程の経済力がないと無理なのだ。


・天下統一を現実の政治問題として人生の目標とし、しかもその実現のために常に最善の手段を考え実行するーこれが信長以外誰一人できなかったことなのである。


「鉄砲は偶然に伝来したのではなくて、ポルトガル人が貿易を目的に「売り込み」に来た?」「鉄砲伝来という事件は、常識として知っている以上に、日本史に大きな影響を与えている?」「なぜ、信玄と謙信の川中島の合戦は決着がつかなかったのか?」その他、琉球王国の興亡編」「海と倭寇の歴史編」「戦国、この非日本的な時代編」「武田信玄の限界編」も見逃せない!この本は歴史の教科書にすればいいと思う。超オススメです。(゜o゜)