「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「ホルモン焼きの丸かじり 31」(東海林さだお)

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またまた東海林さだおさんの本。この独特の文体とその背景にある「間」がタマラナイ。よね〜!♪


「「丸かじりシリーズ」第31弾。政権交代が起きようとも「食」への好奇心は不滅です。鴎外が好んだ饅頭茶漬けの味とは?韓国風徹底かき回しグジャグジャ方式で1800円の鰻重を食べるとどうなるか。高たんぱく、低脂肪、低カロリー、高ミネラルと“いいことずくめ”の馬しゃぶをオズオズ食べてみたら……。行ってみましたホルモン懐石。抱腹絶倒の東海林ワールド」そのエッセンスを紹介しよう。



「釜めし家一家離散」


デパートの駅弁大会。好きなんだよね、峠の釜めしが。買って帰るとヒモをほどくのももどかしくフタを開ける。このときいつも感動が走る。フタが重い!毎回毎回このことに感動する!駅弁のフタは異常に軽い。軽すぎる。アレ?と思うほど軽い。一応フタなんだからもう少し重くなくちゃダメなんじゃないか、と叱りつけたくなるほど軽い。で、感動しつつ開けました。おー!盛り上がってる、盛り上がってる!峠の釜めしの魅力はこのぎゅうぎゅう感なんですね。敷地たるゴハンはおかずたちの下になって全然見えない。早くゴハンに会いたい。望郷の念という言葉があるが、望飯の念にかられる。早くゴハンに会って安心したい。


モンブランとおじさん」


おじさんというものはケーキに直面するとテレてしまうものなのです。ケーキに対してきまりがわるい。モジモジしてしまう。ケーキのショーケースの前に立つ。「いかがいたしましょう。名前をおっしゃってください」と言われ「井上と申します」と答えたおじさんの話は聞いたことある。ぼくがケーキの名前で唯一知っているのはモンブランである。そうだ、モンブランも買おうと、急に思った。「その一番上の段のまん中にある、中曽根さんのバーコードを一本一本太くしたやつ」とはいくらなんでもいいません」


「サンドイッチの袋とじ」


サンドイッチはかじると中の具がはみ出る。特にキュウリ、レタス、トマトなどの野菜類は、パンにはさむと野菜同士がすべってはみ出す。マヨネーズ、バター、ジャムも圧力がかかるとぬめってはみ出す。広辞苑類語辞典では「はみ出す」の例として「パンの間からジャムがはみ出す」と、ジャムははみ出すものの代表者として扱われている。はみ出さないまでも、食べているうちにずれる、ゆがう、入り乱れる。その脆弱な基礎で成り立っているものに、かいる、という乱暴な行為を働くと、これらの秩序の崩壊に監視の目を怠ることができない。もしですよ、この努力を一切しないでサンドイッチを食べ続けたらどういうことになるか。おそらく半分くらい食べた時点で、全ての具はパンとパンの間にはさまれておらず、足元に散乱していることになるのではないか。

ここで急に変わって、いっとき、週刊誌の袋とじのグラビアページというものがはやりましたよね。「この点線に沿って、カッターナイフかハサミで、あせらずに丁寧に切り取ってください」というただし書きが添えてある。まてよ、「あせらずに」というのはなかったっけ。あれです。あの方式をサンドイッチに取り入れる。四辺全部閉じちゃう。具を密閉しちゃうわけです。僕は迂闊にもしらなかったのだが、こういうサンドイッチが「ランチパック」というネーミングで山崎製パンから売っていたのだ。ところが、買ってきて、一つ食べ、二つ食べるうちになぜかだんだん寂しくなってくる。具に会えない。具に会いたい、具の顔を見たいのに具がいない。いることはいるのだが、会えない。ひたすら空しく、ひたすら寂しい。あまりの寂しさに、食べかけのパンとパンの間のスキマから中の様子をうかがう。中にいる連中はそれなりに楽しそうで、ぼくに対してなんだかよそよそしく、ぼくはいっそう寂しくなっていくのだった。



その他、「礼賛、生卵かけごはん」「小松菜に学ぶ」「木くらげ好きですか」「アンクリジャパンとは?」「現代の冒険水蕎麦」「豆腐丸ごと一丁丼」「カツサンド寿し、その実態は」「カツカレーの正しい食べ方」「牛丼変じてうな丼となる」など。


どこから読んでもオモシロイ、実にオモシロイ!オススメです。♪(・∀・)


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