そして、こういう時代だからこそ、身体を整えるのに鍼が必要なように、心の苦しみや疲れを癒す「箴」が必要なのだ。この本は、上智大学名誉教授の渡部昇一氏と麗澤大学学長の中山理氏の対談集。
そういう身近な警句や格言で心に染み入るような先人の言葉を含めて紹介し、さらに体験・事例なども紹介しながら、「よりよい生き方」「人生の楽しみ方」について語り合っているのだ。その中のエッセンスを紹介しよう。
・「箴(しん)は鍼(しん)なり」(佐藤一斎)
〜聖人の箴言や戒めの言葉は心に差し込む鍼(はり)のようなものである。
・貝原益軒は、「貧乏でも老後を楽しめる方法がある」と言っています。それは「健康」であり「読書」であり「自然を愛でること」であると。
・「如之何(いかん)、如之何と言わざる者はわれ如之何ともすることなきのみ」(論語)
〜「どうしようか、どうしようか」と言わない者に対して。私はどうしようもできないのだ。問題意識がないと、指導も出来ないのだ。
・「一所懸命にやり続けるとおもしろくなるのが仕事で、やっているうちに飽きてくるのが趣味なのだ」(カール・ヒルティ)
・「少年の時は当(まさ)に老成の工夫を著すべし。老成の時は当に少年の志気を存すべし」(佐藤一斎)〜若いときにこそ、経験の深い人のように熟考する心持ちを保つべきである。年老いて隠居の身になっても、若い頃の意気込みと気力を失わぬよう心がけるべきである。
・「憂き事のなほこの上に積もれかし。限りある身の力ためさん」(新渡戸稲造)〜今は苦境の中にあるけれども、さらに難事が起きてほしい。わが能力に限界はあるだろうが、この力を極限まで試してみたい。
・「天の将に大任を是の人に降ださんとするや必ず先ずその心志を苦しめ、その筋骨を労せしめ、その体膚を餓えしめ、その身を空亡にし、行うこと其の為さんとする所に払乱せしむ」(孟子)〜天が重大な任務をある人に与えようとするときには、必ずまずその人の精神を苦しめ、その筋骨を疲れさせ、その肉体を飢え苦しませ、その行動を失敗させ行おうとする意図をと食い違うようにさせるものである。邪魔は天からの授かりものである。
ん〜胸にしみるなあ。さあ、今日も一日頑張ろう!(^ム^)