- 作者:武光 誠
- 発売日: 1998/11/20
- メディア: 新書
BOOK〜あなたのルーツは?…『苗字の謎が面白いほどわかる本』
http://d.hatena.ne.jp/lp6ac4/20081105
この本はすこし違った切り口で名字について述べた本。「苗字」ではなく「名字」ね。日本にはなんと三十万種近くの名字がある。その中には、限られた家だけが用いる難読の名字も多い。私は、名字は鎌倉幕府の武家支配によって作られたという視点から、本書で今日までの名字の歴史を明確に説明したい。名字の発生は、武士の登場と鎌倉幕府の成立にかかわる日本史上の重要な出来事としてとらえるべきなのだ。そのエッセンスを紹介しよう。
・名字の「名」は領地をあらわす。つまり、「名字」とは「領地の地名」といった意味になる。それが中世には、「出自をあらわす名」を意味する「苗字」と書かれるようになった。そして、江戸幕府は「苗字」を正式の表記とした。そのため、武士身分をあらわす「苗字帯刀」などの語ができた。ゆえに、中世の「みょうじ」を「名字」とし、江戸時代のそれを「苗字」と記す学者もいる。
・結婚、離婚、養子縁組のときに名字は変えられるが、戸籍法はそれ以外は「やむを得ない事由」のあるときに限って名字の変更ができるとする。そして、これまでの事例から「やむを得ない場合」とは、次の四項だと考えられている。
1 その名字を名のることが本人に有害である場合(天狗、赤鬼などの珍奇な名字など)
2 識別機能が十分でない場合(南風化<はいばら>のような難読の名字)
3 通用長きにわたる、いわゆる通姓がある場合
4 身分の発生・変動にう準じる場合(内縁の妻や死亡した夫や父の名字を望むときなど)
つまり、よほど変わった名字をもつ者でないと名字の変更を認められないのである。
・「鈴木」の名称は古代にはみられない。「鈴木」は古くは「すすき」と読まれた。それは、秋に稲を収穫して田に積んでおくありさまをさす言葉であった。
・人びとが新たに土地をひらいて集落をつくったときに、そこの有力者が村落の中心部分に住んで「田中」と名のった。そしてその名字がしだいにそこの中流以上の農民のあいだに及んでいったのだろう。
・「高橋」の名字は、地名をもとに広まった特別のものである。古代人は、天地を結ぶ梯子や柱があると考えていた。つまり、神々が下りてくる神聖な土地には目に見えない高い梯子や柱が立っている。それが「たかはし」であり、そこから神聖な土地に「高橋」の地名がつけられた。
・「名字は地名から作られる」という原則を押さえておくといい。地名から発祥した名字は全体の70%前後になるであろう。そして名字にちなんで付けられた地名がのこる20%になる。
江戸時代にはほとんど百姓にすでに名字があったという説はなるほど!だったね。先祖探ししたいなあ!おススメ!(^J^)