「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

BOOK〜『吉本興業の正体』(増田晶文)

吉本興業の正体

吉本興業の正体

この本は文句なしにオモシロイよ!(^^♪ 400ページを超える本だけど、一気に読んでしまった。

100年近い歴史を持つ日本最古にして最強の芸能プロダクション、ご存知吉本興業。1000人近い所属芸人・タレントでテレビ界を埋め尽くし、その供給のみならず番組の企画・制作、配信まですべてを押さえて、いまや年商500億円に迫る勢いの順風満帆な会社だ。その原点は創業期にあった!

果たして、この「ケッタイな会社」の正体とは?そのエッセンスを紹介しよう。


・ルミネに来て、いつも驚かされるのは彼ら若手たちの慇懃さ、礼儀正しさだ。「ハイ、吉本の方から、とりあえず楽屋で人と会ったら元気に挨拶するようにいわれているんです。ひょっとしたらテレビ局のディレクターが取材やスカウトに来ているかもしれませんからね。大きな声で挨拶するのはタダだし好印象を与えるからって」


ダウンタウンの元マネージャー藤原寛はいう。「ルミネは放牧場です。ここは広い上に、ものすごく柵が低いです。極端なことをいえば、どんな馬でも入ってくることができます。自由に草を食べてもいいし、駆け回ってもいいんです。芸人が大きくなる方法は芸人の数だけあって、これぞという正解はないと思います。だから僕らは育てるというより、育っていく姿を見ることになります。僕らが気をつけているのは、若手からオモロイ匂いが出ているかどうかですね。そういう空気を漂わせているかどうかをチェックしているんです。ルミネという牧場を見回って、おっ。あんなところに速そうな馬がおるやないかとピックアップしていくんです」


・「売れ始めるとターボがかかって、どんどん売れるようになります。もちろん、吉本の後押しがあるからです。吉本が芸人を贔屓するひとつのやり方はマネージャーをつけるということです。マネージャーは社員ですが、意識的には個人商店です。自分が手掛ける芸人を売り出すことに全身全霊を傾けます


・「時代の流れとニーズ、人との出会い、キャラクター、その子の運……いろんなもんが重なって売れっ子が生まれるんです。けど、芸人なんてそいいうもんですからね。十年燻っても。十一年目から突然売れ出すということが事実としてあります。だから、吉本はなるべくたくさんの芸人を抱えて、放牧場の中で自由にさせてるんです。いつ目立つか、いつ輝きだすかなんて、僕らでも到底分かりません。」


・「吉本の強みは層の厚みです。どの芸人も人気者がコケるのを待っているです。そいつがコケたら、すぐに自分の出番があることを自覚していますし、実際にそのとおりになるでしょう。さんまや紳助みたいな超トップ級でも同じなんです。あいつらが消えたとしても、必ず他のが出てきよります」


・90年代になってバラエティ番組が一挙に興隆し、それを機にお笑い芸人をめぐる環境は新たな局面を迎えた。これはいみじくも吉本興業が芸能界で覇権を確立したことをも意味していた。いまやお笑い芸人は、かつての映画俳優や歌手、アイドルと同じスターだ。若者たちが理屈なしに憧れる存在。人気とカネと羨望を一身に集める成功者のシンボルに他ならない


中田カウスはいう。「若手の大半はファッションという感覚で漫才を捉えてますね。まことにいいにくいんですが、あれは芸じゃないんです。芸人であろうが、タレントと呼ばれようが、僕らは世間様に己を晒して生きていくんだす。お客さんに観てもろて、笑っていただいて、銭を稼ぐしか手立てがない。そういう生き方のルーツをたどれば河原者に行き着きます。しょせん、僕らは見世物小屋にいる牛娘やろくろ首と同じなんです。この世界に入ってくるというのは、見世物になるという覚悟を決めるということ。いわば結界の向こう側の住人になるということですよ。ここは素人さんには立ち入ることのできない異境なんです」


吉本の実態なんてマネージメントという名の合法的な人身売買、テキヤ稼業の巨大化したもんですからね。そこらへんから涌いてきた芸人を酷使し、上前をゴソッと搾取することにより膨大な利益を得る優良企業―それがええ意味でも、悪い意味でも吉本の正体なんです。まさに、ホンマもんの興行の会社ですわ」


勤勉、情熱、刺激、それに狂気ですわ。この四つのどれが欠けてもアカン。この四つがあるから、笑いの需要のあるところを嗅ぎつけることができるんです。なんせ、電気やガスと違うてお客さんまで線や管が繋がっているわけやないんやし、吉本はこっちから笑いを欲する心を見つける必要がある」

すごいなあ!ヨシモト!目が離せない!(^^♪