古田はいう、「俺みたいに野球エリートでもなんでもなくて、普通の公立高校でのんびりと野球をやっとった奴でもプロになれた。 2000本安打も達成できた。こんな普通の奴でもプロ野球選手になれんねんで…ってところが伝えられるのであれば」人間・古田敦也について詳しく知るためには欠かせない一冊!そのエッセンスを紹介しよう。
・上原浩治は、かつて古田敦也から受け取った言葉をいまも宝にしている。「1999年のオールスターで、『思っていた以上にすごい』って言ってくださったんです」
「キャッチングの技術がすごいんですよ。キャッチャーミットって、親指と人差し指の間に網があるじゃないですか。そこで捕っているんじゃないかって思うくらい、ズラせるんですよね。12球団ナンバーワンのキャッチングだったでしょうね」
通常、キャッチャーはミットの中心、つまり掌に近い部分でボールを捕球する。ところが、古田は、ミットの中心よりは外側にある網の部分で捕球することもできるため、その捕球態勢から審判に実際のボールよりも内寄りのボールと錯覚させるというのだ。簡単なことではない。
・2003年までセ・リーグの審判部長だった田中俊幸はいう。
「彼、アウトコースのボールをミットのネットの部分で捕るんですよ。普通はもっともうちょっと芯に近いところで捕ろうとするから、当然アウトコースのボールに対してはミットが動きますよね。ところが、古田の場合はほとんどミットを動かさずに、ネットのところでスパッと捕る。あれをやられてしまうとね、ストライクに見えちゃうんですね。普通のキャッチャーがストライクを捕る位置にミットがあるんだから」
「キャッチングは上手い。肩は強い。リードもいい。まあ、三冠王は獲ってないから、野村さんからすると『古田は俺を越えていない』ってことになるんだろうけど、実際のところ、超えたでしょうね。古田がキャッチャーじゃなかったら勝てなかったピッチャーはたくさんいるし、古田がいたからヤクルトは強かったんだから」
・阪神の正捕手、矢野輝弘はいう。「スローイングもすごい、バッティングもすごい。インサイド・ワーク、もちろんすごい。だけど、キャッチングはズバ抜けてすごいんです。こっちのベンチから見てても。古田さんが低めを捕るとストライクに見えますからね。1試合でピッチャーが投げる球が、130球、140球ぐらいだとしたら十何球ぐらいはきわどい球が来ると思うんです。それをストライクにできるかどうかっていうのは、ものすごい武器になるやないですか」
「ミットのネットの部分でキャッチするなんて、ちょっと考えられへん。だって、140キロから150キロ出てるようなピッチャーの球をわざと芯から外して捕るんですよ。それも、ほんまに自分の手のひらのような感じで扱って。アウトコースの低めのワンバウンドのボールが来る。普通のキャッチャーやったら止めにいくのに、あの人は捕りますからね。まあ、古田さん以上の人はおらんかったなあ」
・ヤクルトの五十嵐亮太はいう。「技術からメンタル面まで、すべてにおいて完璧な人でした。」
「野球はコツだ」という言葉を古田はよく口にする。センスや才能ではない。だからこそ彼は努力を続けることができたのではないか。彼にも多くの苦悩や挫折が訪れている。また球界に戻ってきて欲しいなあ。おススメ!