- 作者: ロバートクーヴァー,Robert Coover,越川芳明
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1990/08
- メディア: 文庫
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いや〜!この本はスゴイ!面白すぎる!(^−^) 人間の想像力ってすごいんだなあ!
タイトルのユニヴァーサル野球協会というのは、もうすぐ定年になる会計事務所に勤める真面目一辺倒のヘンリーが、頭の中だけで作った空想のプロ野球リーグの中での話なのだ!(・。・)
ヘンリーはいう、「ほんとにこのゲームくらい面白いものはない。オモシロイのは、むしろ記録や統計であり、選手個人と球団、攻撃と守備、作戦と運、偶然と規則性、体力と知力などといったものの間にある奇妙なバランスだ」
ユニヴァーサル野球協会は、8球団、それぞれ21名の選手が登録されている。すべてのプレイの結果は厳正なサイコロと一覧表で決められる。何十年もの歴史があり、野球選手ばかりではなく、そのOBや監督など何千人もの登場人物達がリーグを構成しているのだ。例えば…
・打者には、三種類、投手にも三種類あって、花形(スター)選手とレギュラーと新人選手(ルーキー)にわかれている。
・投手一覧表には、投手成績のための専用の用紙を印刷所で刷ってもらっている。この用紙に投手の出場試合数、完投、勝利、敗戦、奪三振、四球、被安打、投球回数、自責点、寸評を記入するのだ。さらに、年度末に勝率と防御率を書き込む余白もある。
・打撃一覧表には、出場試合、打数、得点、二塁打、三塁打、本塁打、打点、盗塁などを記入する欄と年度末に書き込む最終打率と塁打数がある。
・故障一覧表は、デッドボールから始まり、時には数試合、あるいはひとシーズンも棒にふることになる重症までなんでも揃う。
・サイコロは三つで色違い。その結果216通りの組み合わせが生まれた。1・1・1か6・6・6が出た場合、緊迫プレイ一覧表を参照する。1か6の3ゾロが二度続けて出ると、大事件一覧表を参照する。ビーンボール、殴り合いから八百長試合まで。
・ヒットエンドラン、盗塁、犠牲バント、スクイズ等の特殊作戦一覧表。さらに新人選手が初登場する際、その年齢を決めたり、ケガや失策が具体的にどんなものであったからを決めたり、あるいは毎年誰が死ぬかを決めたりする一覧表まである。
・ユニヴァーサル野球協会の公式記録ブックには、選手成績から始まり、記者の特伝に至るまで、また、ひとシーズン通しての分析から一般的な野球理論まですべてを書き込んでいた。テープに録音したインタビューや選手たちの寄稿記事、選挙関係の記事、死亡記事、諷刺、予想、醜聞まで。
・各球団の金銭出納簿をつけている。現金収入額と支出額。球団の成績、選手の売買、球場の改装、選手の契約更改。
・野球殿堂入りした選手の名前を刻んだブロンズ板、本棚、計算機、球団勝敗盤がある。
・シーズンオフは大変だ。冬場のトレードと契約更改。新人選手(ルーキー)の発表、球団金銭出納簿の決算、各球団内の選挙と各賞授与。経営陣及び、首脳陣の整備、死亡者名簿、野球年鑑にしたためるべき評論や死亡記事や予想。さらにシーズンオフ慣例のバスケット大会とボーリング大会などなど。
そして、ある日、パイオニアズのゴールデン・ルーキー、デイモン・ラザーフォードが完全試合を達成するのだ!しかし、それがヘンリーの人生を狂わせるとは…。あとは読んでね!傑作!おススメ!(^◇^)