「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「すばらしき母親の物語 母と子の感動42編」その2(有吉忠行)

昨日の続いて第二弾を紹介しましょう。まさにここに理想の母親のコミュニケーションがある!


【こんなときは泣いてもいいのよ】


海辺の町までの短い支線を持つ駅でのこと。ホームにはおばあちゃんが一人。おそらく夏休みに海辺の里へ遊びに来ていた母子三人が、名残り惜しく駅までやってきた祖母に見送られて、帰っておくところでしょう。二人の子供は、すぐ座席へ上がって、窓越しに、おばあちゃんと向き合いました。やがて、男の子は、窓の向こうのおばあちゃんへ手を振ろうともせず,
うつむいたまま、しくしく泣き出して、しゃくり続けるばかりの男の子。すると母親が、それは、それはというほどの、やさしい声で言いました。


「いいのよ、こんなときは泣いてもいいのよ。おにいちゃんは、やさしいから泣きたくなったのよね。泣いてもいいわよ。お母さん、弱虫で泣くのはきらいだけど、やさしくて泣くのは大好きよ。お母さんだって、おばあちゃんと別れるの、さみしくって、本当は泣きたいんだから。だって、おばあちゃん、また、ひとりぼっちでしょ。おばあちゃんのことを思うと、泣きたくなるわよね」


これを聞くと電車がホームをを離れても、おばあちゃんに振った手を窓に当てたままにしていた女の子も、その手をそっと目に持っていきました。母親の祖母へのやさしい思いやりの言葉が、涙をさそったのでしょう。母親は、細めたまなざしで、二人の子供を、そっと見守りだけです。心やさしい子を抱いてやりたいほどの思いでいっぱいだったのでしょう。母親は、すっかり笑顔になってなって言いました。


「二人とも、もう涙がなくなったの?お母さんは心の中で泣いたから涙は出なかったのよ」


その他、「母と女の子とタンポポ」「心やさしい、二つの傘」「一番、一番って、ほめないで」「わがままは親のほうが多い」「叱るより愛のある導きを」など。


珠玉の42編。どれも涙を誘う。超オススメです。(T_T)