「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「消えた球団 松竹ロビンス ネーミングライツの先駆け!個性派球団興亡史」(野球雲編集部編)

f:id:lp6ac4:20200322064731p:plain

消えた球団 松竹ロビンス1936~1952

消えた球団 松竹ロビンス1936~1952

 

 「新型コロナ」の影響でプロ野球の開幕が延期という前代未聞の事態で、プロ野球ファンが淋しがっている(と思う。)ということは読書で野球を堪能しよう!ということで

この本に出会いました。

 

ネーミングライツの先駆け!個性派球団興亡史<<消えた球団シリーズ第2弾! >> セ・リーグ初代覇者の名は日本初のネーミングライツビジネスだった!和製ディマジオ小鶴誠神主打法岩本義行金山次郎らが並ぶ水爆打線がここに復活する!」そのエッセンスを紹介しよう。

 
松竹ロビンスは1936(昭和11)年のNPB創設時に大東京軍として加盟し、ライオン軍、朝日軍太平(パシフィック)、太陽ロビンス大陽ロビンスそして松竹ロビンスとなり、1952(昭和27)年シーズン終了後、大洋ホエールズ現横浜DeNAベイスターズ)と合併し、その歴史に幕を閉じました。しかし、あまり知られていないのは消滅しただけでなく、巨人、阪神などの老舗球団と違い、球団名が猫の目のように変わり、選手も入れ替わりが激しいことでファンも落ち着かなかったからかもしれません。
 
 
・「誤解されがちですが、直後にライオン軍となったのは、ライオン歯磨さんにスポンサーになってもらうために『ライオン軍』にした訳ではなく、ライオン軍という名前にして、ライオン歯磨さんがスポンサーになってくれたのです」
 

f:id:lp6ac4:20200322065349j:plain

▲ 真田重蔵 いまだ破られぬセリーグ記録の最多勝39勝
 
・「関西に球団が移り、両親は巨人より『タイガース』を意識していました。だから虎より強い『百獣の王ライオン』ということで球団名を決めたことを、母が私に語ってくれたのを覚えています。ライオン軍のロゴマークも、当時住んでいた洋館のソファにあったクッションの柄が獅子柄で、それをヒントにしたんですよ」
 

f:id:lp6ac4:20200322065845j:plain


▲ 林安夫 シーズン先発51登板のNPB記録保持者

 
・チーム名だとすれば、複数形で表現するのではライオンズになるはずである。しかし、彼らはあくまでも歯磨の商品名にこだわった。ーやはり我が社を象徴するライオンがいいー。
 

f:id:lp6ac4:20200322065055j:plain

▲ 岩本義行 「元祖神主打法」「初代トリプルスリー」
 
・松竹は白井松次郎大谷竹次郎という双子の興行師が興した芸能会社だ。二人の名前をとって「松竹」である。


1リーグ時代は私が生まれるずっと前。この歴史があってこそ、今のプロ野球の反映がある。感謝だね。プロ野球ファン必読!オススメです。(・∀・)

 

f:id:lp6ac4:20200322064731p:plain

消えた球団 松竹ロビンス1936~1952

消えた球団 松竹ロビンス1936~1952

 

 

「変わる力 セブン-イレブン的思考法」(鈴木敏文)

f:id:lp6ac4:20200321061922p:plain 

変わる力 セブン-イレブン的思考法 (朝日新書)

変わる力 セブン-イレブン的思考法 (朝日新書)

  • 作者:鈴木敏文
  • 発売日: 2013/05/10
  • メディア: 新書
 

小田原に住んでいた昭和50年代前半、我が街にはじめて「セブン-イレブン」が誕生したときのことをはっきり覚えている。当時は「おにぎり」も「おでん」ももちろんない。「スラーピー」は新鮮だったなあ!(笑)

 

「変化に対応できない会社は生き残れない。流通業界に飛び込んで50年、セブン-イレブン誕生40周年の節目だからこそ語れる経営哲学。ビジネス人生を歩む読者にとって〝ブレークスルー思考″へと変わるきっかけとなる一冊」そのエッセンスを紹介しよう。

 
・変化から “ 将来像 ”を読み取り、何ができるか「仮説」を立てて、「実行」し結果を「検証」して、仕事のやり方を常に最適化していくー日々の業務の中で、この仮説ー実行ー検証」をコツコツ繰り返していけば、結果は後からついてきます。その証拠がセブン-イレブンです。私は経営におけるふたつの視点を体得することになりました。統計学と心理学です。
 
・「スーパーが進出し、商店街の多くが衰退しているのに、そんな小型店が成り立つわけがない」と、社内の大反対に遭いました。経験がないから夢物語を言えるんだ」という役員もいました。しかし私は経験がないからこそ、商店街が衰退していく要因を違う視点でとらえていたのです。
 
「中小企業だって、大型店と同じやり方ではなく、例えば生産性を徹底的に上げるなど差別化した商いをすれば、大型店とすみ分けができ、共存できる」と、周囲を説得しました。反論はでませんでした。
 
・営業をスタートさせたものの、課題は次々と出てきました。それらをひとつひとつ乗り越えてゆくー。セブン-イレブンの黎明期は、これまでの商売のやり方の常識を打破し続ける、挑戦の連続だったのです。
 
・セブン-イレブンがなぜ数字を上げることができるのかと考えると、次の3点に集約されます。
 
1 ドミナントの強化
2 商品開発・供給インフラ体制
3 ダイレクト・コミュニケーション
 
・私たちが目を離してはならないのは、競合他社ではなく、変化する「お客さまのニーズ」です。
 
毎回、毎回、私は繰り返し同じことを話しますが、伝えるべきことを貴重にして、その折々の情報を加えて語るのです。話す内容は基本的なこと。
 
1 商品ごとの動きを把握し、仮説を立て、データで検証しながら発注の精度を高める「単品管理」の徹底
 
2 お客様のニーズの変化に対応し、自らも変わる努力をする
 
セブン-イレブンが成長し続ける企業であるために欠かせないふたつの基本事項の大切さを、切り口を変えて何度も何度も話し続けています。
 
・私がふだん、思いつきやひらめきのきっかけを得るためにしていることは、ふたつあります。ひとつは、いつも「情報の中に身を置く」ということです。家の中ではテレビをつけていたり、移動の車の中ではラジオをつけっぱなしにしたりしています。毎朝の通勤中はラジををよく聞いています。何気なく聞き流しています。それでも必要な情報が得られるのは、私の頭の中にフック(釣り針、留め金)のようなものがあるのでしょうか。
 
・もうひとつ、人前で話すことも、イデアをひらめかせるために有効です。講演は自分の考えを吐き出す時間ではなく、話しているうっちに頭の中が整理されたり、考えがまとまったりして「アイデアを導き出す素」だと思っています。
 
フランチャイズビジネスで大事なことは、出店数の多さではありません。一店一店の質を高めることが最優先で、これこそ「目標」です。

 

一言一言が響くなあ。説得力あるなあ。やっぱりセブンさん、いいねえ。オススメです!(・∀・)♪

 

f:id:lp6ac4:20200321061922p:plain

変わる力 セブン-イレブン的思考法 (朝日新書)

変わる力 セブン-イレブン的思考法 (朝日新書)

  • 作者:鈴木敏文
  • 発売日: 2013/05/10
  • メディア: 新書
 

 

「両手いっぱいの言葉 413のアフォリズム」(寺山修司)

f:id:lp6ac4:20200320224940j:plain

両手いっぱいの言葉―413のアフォリズム (新潮文庫)
 

 意外や意外!寺山修司の本を読むのは初めてだったーっ!キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

冒頭の「名言集というのは、言葉の貯金通帳なのね」でもうやられたよねー!

「一字に影があるように、一行にも影がある。」――
言葉と発想の錬金術師・寺山修司ならでは、諧謔と毒との合金のような、文字どおり寸鉄の章句たち。愛と暴力、快楽と死、賭博と夢、もちろん男と女。つごう52のキィワードの下、広く著作群のなかから集められ、あの鬼才のエッセンスがそのまま凝縮された413言をこの一冊に。さあ、町へ出ようッ。寺山修司"をポケットに入れて……」その代表的なコトバを紹介しよう。
 
名言集というのは、言葉の貯金通帳なのね。
 
自分たちにしか通じない言葉をもつのが恋人同士である。
 
はじめてのキスというのは、人生の参加をゆるされるパスポートを思わせるすべては「くちびる」からはじまるのだ。はじめに言葉ありきと言うとき、ことばはくちびるからはじまるし、愛もキスもまたくちびるからはじまる
 
家事とよばれているものの大部分は今では代理でまにあうようになってきつつあるのが現代の特色です。こうした時代に、すべてのことを代用させることのできぬものた、愛であると思われます。なぜなら、愛だけは「代りに愛してくれる」施設も代理員もいないからです。
 
観客は立ち会いを許された除き魔である。
 
・世の中の目の敵っては、きまってるんだ。だから誰かが眼をあけるときには、他の誰かが、眼をつむってなきゃなんねえ。全員、眼をあけたら世の中のヒューズがとんでしまう。
 
・同じ鳥でも飛ばないとりはなあんだ? それはひとり という鳥
 
・「期待する」ということに期待しすぎると幻滅するものです。
 
なみだは人間の作るいちばん小さな海です。
 
・むかしの人は、悪魔は人間の口から入ってくると考えていました。
そこで悪魔が口から入るのを防ぐため、口のまわり(つまりくちびる)に
悪魔の一ばんきらいな 色をぬることを考えました。
(それは、紅色なのでした)これが、口紅の起源なのですよ。
 
・賭博のなかで最大のものは「人生を賭けること」だ。
なぜなら、カジノで負けても奪われるのはお金だけだが、人生で負ければ、奪われるのは命だからである。
 
時計の針が 前にすすむと「時間」になります 後にすすむと「思い出」になります
 
・私はどきどき、世界で一ばん小さい星を食べる。それはコンペイトウという名で、どの星座にも属していない。
 
このキーワードだけでラブソングが作れるね。作ろう!オススメです!(・∀・)♪

 

f:id:lp6ac4:20200320224940j:plain

両手いっぱいの言葉―413のアフォリズム (新潮文庫)
 

 

「人生は「声」で決まる」(竹内一郎)

f:id:lp6ac4:20200319051552j:plain 

人生は「声」で決まる (朝日新書)

人生は「声」で決まる (朝日新書)

  • 作者:竹内 一郎
  • 発売日: 2018/07/13
  • メディア: 新書
 

「人は見た目が9割」で有名な竹内一郎氏。今度は「声」がテーマです。 ワタシの持論なんだけど「自分をいちばん癒やすのは自分の声である」。嘘だと思ったら夜寝るときに自分の歌声を聞きながら布団に入ってみてください。ホントに熟睡できるから!(笑)……ワタシだけかな……。(笑)(・∀・)

 

「声とは教養そのものである。 声に気づけば、人間関係が潤う。私たちは話す内容より「声」で判断される──舞台演出家かつ「非言語情報」の専門家が、究極の自己財産である声の活用法について、 テクニカルとメンタルな面の双方から迫る。「自分の声」ひいては自分自身と出逢う喜びを味わえる、超実用的人生読本!」そのエッセンスを紹介しよう。
 
・声は有効なコミュニケーション・ツールであるにもかかわらず、小学校から大学まで通い、「人間関係を円滑にし、仕事を達成するには、声が大事だから、声を磨きなさい」と先生に教えてもらった人は、いないのではないだろうか。
 
 
 
・動物は何のために、声を発するのか、理由は二つ。危険を伝えるためと、オスがメスを引き寄せるため。両方とも「種の保存」のために最低限必要なことに大切な機能として声は生まれている。
 
テレビ局のアナウンサーは、視覚情報も加わって、人柄がかなり詳しく視聴者に伝わる。「見た目重視」で採用されている。一方、民放のラジオ局は「声重視」でアナウンサーを採用する。最低限、十人並みの見た目なら問題なしだろう。ラジオのパーソナリティは、ほとんど紙に書かれたものを読むのではなく、自分の考えをしゃべる。だから「話の内容」を通じて、知性そのものについてもリスナーに伝わるようになっている。だが「声の魅力」で抜きん出る人は少ない。
 
声で食べていけるのも才能である声優の卵は常に三万人いるといわれている。それだけ専門学校や養成所があるということだ。
 
小沢昭一「(香具師テキ屋)は、うろうろ動いている人の足をとめて、とめるだけじゃなくて、その人にバナナを買わせるっていう、それも全部口先三寸のタンカによってやろうというわけですから、これは大変な魔力がなければ通用しないわけです」
 
・電車の車掌といい、テレアポといい、「相手のために」しゃべっていない人の声には、力がない。「伝える気」のない言葉に力が宿るはずがない。声はそもそも「相手に伝えるため」に生まれたものである。一般的には伝える気のない声」は「駄目な声」といってもいいだろう。
 
・(二代目桂枝雀)しゃべりには「緊張と弛緩」が大切。
 
・リズム、テンポ、強弱、抑揚、間……これらも音声情報を左右する大きな原因だが、何より勝るのは、声そのものの質なのである。
 
・どんなに時代が変わっても、普遍性を持つ変わらない声は赤ん坊の鳴き声である。
 
理想的なマイクの位置は、口から12センチメートルの場所である。「鼻からの声」と「口からの声」の合成音の二つの「音」の合流地点は、口から12センチメートル離れた位置にあるので、そこにマイクを置くのが自分の声をクリアーに再現する手段である。また声を出す前にコップ一杯程度の水を飲むと良い声帯の周辺を湿らせることができ、いがらっぽい感じを取り除いてくれる。
 
「うまい話し方6つのツボとコツ」
 
1 音量コントロールを間違えない
2 話のスピードを考える
3 抑揚を上手に付けよう
4 明瞭な発音
5 流暢に話す
6 効果的な間
 
NHKのアナウンサーは平均で一分間に350字程度しゃべる。徳川夢声は150字程度だったという。ゆっくりしゃべっても、観客に静かに聞いているというのは、声に力がある。話にワザがある、ということである。名人の域をを知れば、私たちも謙虚に切磋琢磨できるというものだ。
 
山寺宏一氏はディレクターにこう言われた。とにかくテンションを上げろ。『バッキー木場という人気のパーソナリティがいるだろう。あの人にテンションで負けるな。そうだ、お前は今日から『バズーカ山寺』だ。テンションだけは絶対に下げるな」山寺氏はその後、テンションの高さでは日本でも屈指のタレントに成長していく。
 
・そもそも、日本人は芸人や俳優でない限り、「しゃべり」が大事だとは考えてこなかった。そしてこの20年は急激に成長するネット社会である。コミュニケーションの王座は「メール」が座りつつある。これでは、しゃべりは軽視されて仕方がない。当然、声にまで意識は届かない。
 
英語の「スピーチ」という言葉を、明治期に日本語では「演説」と訳したとされる。福沢諭吉『学問のすゝめ』で演説の大切さを説くまで、日本では演説が重要な局面は少なかった。戦国大名は、証拠が残らないように大事なことは茶室で「言葉を交わすことなく」伝えあったようだ。禅の言葉に「以心伝心」があるが、そんなコミュニケーションを好んだ国民である。とはいえ、それは日本に限ったことではなく、基本的には西洋以外の国々では、演説は重要な能力ではなかった。
 
二代目広沢虎造清水次郎長伝」は、ナントモいえない雰囲気と存在感をかもし出すよね〜!声を磨こう!歌おう!オススメです。(・∀・)♪

 

f:id:lp6ac4:20200319051552j:plain

人生は「声」で決まる (朝日新書)

人生は「声」で決まる (朝日新書)

  • 作者:竹内 一郎
  • 発売日: 2018/07/13
  • メディア: 新書
 

 

「「自分の子どもが殺されても同じことが言えるのか」と叫ぶ人に訊きたい」(森達也)

f:id:lp6ac4:20200318224453j:plain 

刺激的なタイトルに惹かれて読みました。いい意味でイメージとは違う中身だったなあ……。さすが森達也さんっ!!!

 

死刑存続論者の多くは、「死刑制度がある理由は被害者遺族のため」と言う。しかし、著者は問う。「自分の想像など被害者遺族の思いには絶対に及ばない。当事者でもないのに、なぜこれほど居丈高に、また当然のように死刑を求められるのか?」本書は、死刑制度だけでなく、領土問題、戦争責任、レイシズム9・11以後、原発事故、等々、多岐にわたる事象を扱う。日本に蔓延する「正義」という名の共同幻想を撃つ!」そのエッセンスを紹介しよう

 

・苦しんでいる人、力の弱い人、声の小さな人、助けを求めている人に代わって声をあげること、あるいは支えること、訴えることは大切だ。それを否定するつもりはない。でも大切な人を失った気持ちを、自分が100%共有できるはずがない。代わって声をあげながら、その後ろめたさをしっかりと意識することも必要だと僕は思う。だって本当に大切にすべきは、自分の気持ちではないのだから。
 
「死刑制度がある理由は被害者意識のため」と断言する人たちに僕はこの質問をしてみたい。
 
もしも遺族がまったくいない天涯孤独な人が殺されたとき、その犯人が受ける罰は、軽くなってもよいのですか。
 
つまり命の価値が、被害者の立場や環境によって変わる。ならばその瞬間に、近代司法の大原則である罪刑法定主義が崩壊する。自分の愛する人が消えた世界について、確かに想像はできる。でもその想像が、被害者遺族の今の思いをリアルに再現していると僕には思えないあなたはその思いを、自分は本当に共有していると胸を張れるのだろうか。ならばそれこそ不遜だと思う。
 
・もしもあなたがラーメンを作るプロならば、自分が作ったラーメンを何度も食べて味をチェックするはずだ。音響ホールを設計するプロならば、コンサートにはできるかぎりチェックするはずだし、自分が設計したホールの音の響きを何度も確認するはずだ。裁判官は死刑判決を下すかどうかを判断するプロフェッショナルだ。ならば死刑判決を下された人たちが、どのように執行されるかを知らなければならない。「ある程度の苦痛やむごたらしさはやむを得ない」と法廷で宣言するのなら、どの程度に苦痛を感じていると推量できるのか、どの程度いむごたらしいのか、それを知らなければならない自分が体験することは無理だけど、せめて現認しなければならない。
 
ノルウェー国内の年間の殺人事件は総数で30件前後。ただしそのほとんどは過失や傷害致死で、殺意ありきの殺人事件は、確かに年間に数件だったこのときはさすがに驚いた。だって国全体でこの数値なのだ。(日本は500件)
 
オスロ観光の一つシュフース城塞にいく。小高い山の頂上。柵がまったくない。落ちれば横は崖。「なぜ柵をつくらないの?」「事故がないからでしょう。もし子どもが落ちたとしても、それは子どもの手を離した親が悪いということになりますね」
 
なぜノルウェーでは厳罰化が進まないのか?「犯罪者のほとんどは、幼年期の愛情の不足、生育期の教育の不足、そして現在の貧困という背景のうちどれかを抱えています。彼らの多くはこれまでの人生で十分に苦しんでいます。それなのに新たな苦しみを与えても意味はない。人生への希望と愛情、そして正しい教育を身につけてもらうことが罰なのです」「でも、その3つが不足していないのに犯罪を起こす人もいます」確かに少数ではあるが、そういう人もいます。でもならば彼らに罰を与えても意味はない。この場合は治療しなければならない」ノルウェーには死刑も終身刑無期懲役もない。最高刑は禁固21年。っどんなに凶悪な事件の加害者としても。これ以上は求刑されない。
 
ノルウェーには死刑がない。人間は苦しみを与えてはならず、その命が他の目的に利用される存在される存在であったはならないと考えるからです。今も死刑を行っている国は、すべての国民に「殺人で問題は解決する」というメッセージを与え続けていることになります。これは間違っています。犯罪者の命を奪っても犯罪は撲滅できません。残された憎しみと悲しみが増えるばかりです。ノルウェーに死刑がないことを、私はノルウェー人として誇りに思っています
 
・大きな事件や事故があってしばらくが過ぎた頃、風化させてはならないとのフレーズをよく耳にする。気持ちはわかる。でもそれは無理だ。あらゆることは風化する。それは当たり前のこと。ものは壊れるし人は死ぬ。悲しみも怒りも、年月の経過とともにどんどん薄くなる。ひとはそのようにできている。風化は当たり前だし仕方がない。問題はどのように風化するかだ。言い換えれば、事件や事故をどのように解釈したかだ。なぜならそれが歴史になる。
 
「なぜ人間にはこれほど鋭敏な味覚があるのか」「この社会がハンセン病患者に強要した、無知で残虐な処置」「メディアを媒介に広がる「がんばれ」そのグロテスクさになぜ気づかない」「どう考えてもおかしい。スリッパを重ねる意味は何だろう」「本人がいて、運転免許証もある。それなのになぜ印鑑が必要なのか」「ごめんなさい。原子力安全神話は僕たちが形成した」「「叫びたし 寒満月の割れるほど」獄中で詠まれたあまりにも悲痛な歌(福岡事件)」「今やボールペンを持っているだけで逮捕されるもかもしれない」「刑事罰を寛容化したノルウェー。治安が向上した理由は何か」「不安と恐怖に煽られて歯を剥き出す犬に、石を投げつけてどうする」「元日本軍の証言。日本軍は中国で何をしたのか(絵鳩毅)」「オオカミが来たと言い続けた少年は、本当にオオカミが来たと思いこんでしまった」など。

 

ノルウェー!すごいなあ!!!ワタシも個人的には日本も死刑廃止にむかえばいいと思っています。どのページも実に考えさせられる。オススメです!(・∀・)

 

f:id:lp6ac4:20200318224453j:plain

 

「笑いのモツ煮こみ」(東海林さだお)

f:id:lp6ac4:20200317052919p:plain

ワタシはお酒のツマミはモツ煮込みとポテサラさえあればイイというタイプだ。 煮込み、大好きっ!(・∀・)♪

 

さてこの本は「笑いのモツ煮こみ」だよ!天才、東海林さだおセンセイ。おもしろくないわけがないっ!そのエッセンスを紹介しよう。

 
・5月4日午前11時半、巣鴨駅、地蔵側改札口付近駅のホームから改札口に至る階段、通路のすべてが場合によってはたちで埋め尽くされていた。この辺一体はとげぬき族によって占拠されたのである。「四の日」と休日が重なると、とげぬき族の人手は5万から6万といわれている。遅々として進まぬ改札口への人波は、東京ドームで巨人ー広島戦が終了した直後の水道橋駅の渋滞によく似ている。
 
マッチ!キミには改革がなかった。工夫がなかった。進歩がなかった。死者にムチうつようで気の毒だが、キミは一度だって改良を試みたことがあるだろうか細長い軸とその上についた丸い顔。その形が一度だって変わったことがあるだろうか。生まれてこのかたずうっとそのまんまじゃないか。ライターのほうを見たまえ。オイルからガスへ。石から電子着火へ。数千円から百円へ。時代に身をすり寄せながら生きてきているではないか。その間キミは何をしていたか。箱の中で頭を並べて寝ていただけではないか。寝てばーっかりいれば誰だって体をわるくする。容体だってだんだん悪化する。
 
・「わが野菜株式会社も人事考課を始めたいと思います。とりあえずキュウリあたりからいってみますか」「印象が薄いね。さっぱりしすぎる。それに協調性がない」ヌカと組むといい仕事しますが」「あ、そうね。あれはいい」
 
・「次はジャガイモですが」「わたしはねえ、買ってるんだよね、彼を」「いい奴です、彼は」「努力してますね。責任感があります」「協調性もありますね。まずジャガバタでしょ。肉ジャガでしょ。ポテトサラダでしょ。ポテトフライでしょ。ポテトチップでしょ」「いずれにしても、自分の名を冠せた仕事ができる奴は偉い。 “ 冠 ”仕事があるということは 」
 
・「カブ、どうですか」「彼はヌカと組むといいい仕事しますね」「それにみそ汁の実、油揚げなんかと」「ダイコンいってみますか」彼女はヌカと組むといい仕事しますね」「キミはさっきからそればっかりだねえ。ヌカに親戚でもいるのかね」
 
・ぼくはまずプランを練った。大久保駅到着→大久保駅付近一帯観光(徒歩)→下宿前到着、見学→燕京亭でお食事(レバニラ炒め、ほか)→帰路以上のような綿密なプランができあがった。内容的にはヨーロッパツアー二週間」などというプランと似ているところもある。◯月◯日、夕、パリ到着→市内観光→凱旋門見学→ツール・ダルジャンでお食事(鴨ロースト、オレンジソース、ほか)→帰途。といったプランと、ほぼ似ている。
 
「バアチャンたちの原宿」「男の化粧」「さようなら マッチ」「尾瀬への細道」「人生のダイゴミ」「非喫煙ビギナーの弁」「野菜株式会社」「捨てられないもの」「巷の神様」「睡眠入門」「やりたくないこと」「わが青春の大久保」「中年男のグルーミング」「デパート宣伝販売員の世界」など。


そういえば「マッチ」みなくなったねー!(笑)「野菜株式会社」楽しいっ!オススメです!♪ (・∀・)

 

f:id:lp6ac4:20200317052919p:plain

 

「カシコギ」(趙昌仁・金 淳鎬)

f:id:lp6ac4:20200316052104j:plain

カシコギ

カシコギ

  • 作者:趙 昌仁
  • 発売日: 2002/03/01
  • メディア: 単行本
 

難病モノや親子愛のストーリーには弱い……年とともに涙もろくなってしまって困る……。(T_T) この小説もラストは涙が止まらなかった……。

 

「父親」という生きものは、どうしてこれほど哀しいのだろう?白血病の息子の治療費を用意するために八方手を尽くし、最後は自分の角膜まで売ったチョン。親であり、子であるすべての人に贈る愛の物語韓国のベストセラー小説の邦訳」そのエッセンスを紹介しよう。

 

白血病は、アニメに出てくる意地悪な猫、トムみたいだ。僕は二十日鼠のジェリー。どんなに逃げてもトムはジェリーを追ってくる決して逃してくれない。入院と退院、入院と退院ー。二年間、この二つの繰り返しだった。今度の入院はもう一か月になる。

 

タウムが生きるよすがだった。タウムが太陽なら、自分はその周りを回る惑星だった。万一息子を失えば、自分は遠心力によって、この世の外に跳ね飛ばされてしまう。生きる理由を失ったまま、笑い、騒ぎ、歌うわけにはいかない。ところが、タウムは聞く。あとどれだけ苦しめば死ねるの。こんなに苦しんだからもう死んでもいいじゃない」と。

 

「あなたが虚しく過ごしたきょうという日は

きのう死んでいったものが

あれほど生きたいと願ったあした」

 

・精算の期日はとうに過ぎ、会計課に呼び出された。彼の頭は、当面の入院費ではなく、その十倍を超る金額のことでいっぱいだった。三千万から四千万ウォン。完治の唯一のチャンスである骨髄移植移植しなければ、タウムはやがて死ぬことになる。しかし当面の入院費さえおぼつかなった果てしのない砂漠に迷い込んだようなものだ。どちらかを選ばなければならいのに、どちらも選べない。恥ずべき、無能な父親だ。

 

・「『タウム』って名前には、素晴らしい意味があるんだ。人間らしく(サラムタウム)、美しく(アールムタウム)、睦まじく(チヨンタウム)…」この3つに共通している『らしく(タウム)』という言葉からとったのがお前の名前なんだよ」僕の名前には、パパの願いが込められている。パパの息子が人間らしく、美しく、睦まじく生きてほしいという願いなんだ。

 

・僕がとても大事にしている『子ども化学百科』という本、全十二巻のなかの第八巻「淡水魚編」カシコギという小さな魚がでてくる。

 

f:id:lp6ac4:20200316052410j:plain

 

カシコギは不思議な魚だ。ママカシコギは産卵後、どこかに逃げてしまう。卵たちがどうなろうとかまわないんだね。パパカシコギが残って卵の世話をする。卵に襲いかかるほかの魚たちと、命をかけて戦うんだ。寝食を忘れて熱心に卵を守る。卵は孵化して雑魚たちがぐんぐん大きくなると、子どものカシコギたちはパパカシコギを捨てて、それぞれ自分の道に行ってしまう子どもたちがみんな去ったあと、一人残されたパパカシコギは岩の間に頭を突っ込んで死んでしまう。カシコギは、僕のパパ

 

・ミン医師「医者生活20年のあいだにいろいろな経験をしてきましたが、タウムが退院した日ほど胸を痛めたことはありませんでした。あなたは特別な保護者でした。母親の献身はよく見知っています。しかし、あなたのように献身的に子どもを看病する父親は初めてです。わたしが同じ立場になっても、あなたのようにはできないと思います」

 

「とてもきれいな夕焼けですね。夕焼けがきれいなのは、東から西まで長い距離を通ってきたからなんですって。でも、あまりに美しい夕焼けは雨の前兆なんですね」前兆?その単純な言葉が、なぜこうも身にしみる痛さで胸を刺すのだろう?

 

・「息子が病気になってから一番耐えがたかったことは、子どもの爪を切ることだったよ。爪を切ってやるたびに確認させられるんだ。爪が伸びただけ残された日数が減っていくんだ。爪はどんどん伸びるのに、子どもの命はどんどん少なくなっていく。俺は息子の爪をできるだけ短く切った。それがタウムの命を延ばすような気がしたんだ。でも今はその爪を長く残して切るんだ。もうこれ以上、爪に執着する必要がないからだ。俺にとってそれがどれだけ幸せか、誰もわからないと思う。言いたいことはー、俺はとても幸せな父親だってことだよ」

 

二日前、角膜を売った。農作物の白菜を市場に持ち出して売るように四十代初めの男性はその角膜で光を取り戻し、チョンはそのお金で子どもの治療費をつくった。しかし彼とその男性は、互いの幸運を折り合うことはない。それは明らかな取引であり、しかも法が禁ずる密売なのだ。

 

世の中を愛し、世の中から愛されるタウムになることを望む。ーパパより。

チョンは出版された詩集の扉にそう書いた。それが彼の望みのすべてだった。父親の名前で記す最後の祈りでもあった。将来、息子が一、二編の詩を胸に抱くころには、その言葉の意味が理解できるだろう。そして、自分をフランスに送るほかなかった父親の気持ちをわかってくれるだろう。

 

息子よ。ああ、俺のすべてだった息子よ。

パパはこの世にいなくなっても、それはまったき死ではないのだ。この世にお前を残すかぎり、パパはお前の中に生きているお前はもうパパを見ることも、声を聞くことも、触ることもできないだろう。だが、パパはいつまでもお前とともに前へ前へと歩いていく。お前が疲れないよう、倒れないよう、お前が行く道を間違わないよう気をつけながら、お前についていく。永遠に、永遠にー。

 

母の愛は当然だけど、父の愛はこの物語でよく分かる。ワタシも自分ごとのように父を思い出しました。感涙必須っ!超オススメです。(・∀・)♪

 

f:id:lp6ac4:20200316052104j:plain

カシコギ

カシコギ

  • 作者:趙 昌仁
  • 発売日: 2002/03/01
  • メディア: 単行本